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天声人語

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2010年7月7日(水)付

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 テレビでゴルフの試合を見ていて、やけに日が高いなと思うことがある。外は夕方なのに、画面の芝には選手の影が黒々と落ちている。実は生放送ではなく、放送枠に収めるため1〜2時間遅れで録画を流す「ディレイ中継」の手法という▼「運命の最終ホール」が映る時分には、勝者は祝杯を上げているはずだ。テレビ局は視聴率を気にし、ネットに速報を流さないでと新聞社に頼むこともあるらしい。スポーツ放送はライブが命。よほどのファンでもない限り、結果が割れている試合は味気ない▼NHKが、大相撲の名古屋場所を中継しないと発表した。野球賭博などの不祥事に、公共放送なりのけじめをつけたつもりだろう。かたや受信料を払っている相撲ファンは、「生の迫力」という対価を失う▼幕内の取組に限り、1〜2時間遅れで録画を流すという。ひいきがいる向きには、きっと勝敗より取り口を確認する番組になる。なにしろ、力士たちは風呂から上がった頃合いだ。真剣勝負の臨場感は、どんな大画面でも伝わるまい▼大相撲のテレビ中継は1953(昭和28)年に始まった。「客が減る」との声もあったが、後に栃若時代を築く栃錦、若乃花の昇進期にあたり、国技館も茶の間も盛り上がった▼謹慎休場が多い名古屋場所にも、白鵬の連勝記録など見どころはある。しかし生放送の「や」が15並べば、半世紀を超えて相撲人気を支えてきたテレビ桟敷は多くの客を失おう。これで相撲協会が反省しなければ、中継放棄というNHKの物言い、誰も幸せにしない。

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