HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 01 Jul 2010 20:14:57 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:W杯日本代表 次はもっと大きな夢を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

W杯日本代表 次はもっと大きな夢を

2010年7月1日

 サッカー日本代表の戦いが終わった。初のベスト8はならなかったワールドカップ(W杯)南アフリカ大会。だが、確かな進化が見えた。この一歩をさらに力強い前進へとつなげたい。

 四度目のW杯出場で、海外の大会としては初めて一次リーグを勝ち抜き、決勝トーナメント一回戦へと進んだ日本代表。パラグアイとの対決は、双方が力を絞り尽くす展開となった。九十分で終わらず、延長でも決着がつかずに0−0のまま百二十分を戦い抜いてPK戦にもつれ込んだ死闘。勝敗を分けたのは、わずかにゴールマウスを外れてバーをたたいた一本だった。ほんの紙一重の差で、W杯初の8強の座は目の前をすり抜けていってしまったのである。

 大奮闘の末の惜敗に、選手や関係者のみならず、日本中のファンも無念の思いをかみしめたことだろう。が、悲観するには及ばない。敗退の向こうに新たな可能性が見えた大会だったからだ。

 開幕前の低評価を見返すかのように、代表チームは試合をこなすごとに力強さを増していった。際立った特長、特色を見せるまでには至らなかったが、強豪に対しても、それぞれが冷静、堅実に役割を果たしていく戦いぶりは、確かな進化をはっきりと示していた。一戦ごとに自信がふくらみ、それがまたチームの勢いを加速していくのもよく見てとれた。これまでにない前進と言っていい。

 W杯を頂点とする世界のサッカーの層は厚く、壁は高い。上位を目指すための近道はない。さまざまな経験を積み、一歩ずつ前へ進んでいくしかないのだ。世界の上位になかなか近づけなかった日本のサッカーは、Jリーグの創設、W杯への挑戦をバネとして飛躍を繰り返し、底力を増してきた。それらがひとつ、またひとつと積み重なった結果、ここで新たな扉が開きつつあるのではないか。

 試合終了のホイッスルは、次の挑戦に向かう合図でもある。この健闘で得たものを、代表チームはしっかり生かし、発展させていってほしい。ここからまた勝負が始まる。W杯とは、それぞれの国のサッカー界が四年の歳月をかけてさらなる高みを目指していくマラソンレースでもあるのだ。

 世代や性別を超えた多くの人々が、心を通い合わせて楽しめる。みんなで同じ夢を見ることができる。それがW杯である。四年後には、もっともっと大きな夢を見せてほしいものだ。

 

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