HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 30621 Content-Type: text/html ETag: "1203cc-5ad1-a29f3180" Cache-Control: max-age=5 Expires: Tue, 29 Jun 2010 00:21:06 GMT Date: Tue, 29 Jun 2010 00:21:01 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):社説
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 社説

社説

Astandなら過去の朝日新聞社説が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2010年6月29日(火)付

印刷

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

日米首脳会談―「同盟深化」も、沖縄も

日米関係もまた再スタートである。菅直人首相とオバマ米大統領が初の首脳会談を行った。両氏は「アジア太平洋の平和と安全の礎」として日米同盟の重要性を確認し、首相は9月の国連[記事全文]

角界賭博問題―開催優先では出直せない

開催か、中止か。野球賭博問題にからみ、注目されていた大相撲名古屋場所について、日本相撲協会は28日の臨時理事会で、来月11日から開くことを決めた。外部有識者による特別調[記事全文]

日米首脳会談―「同盟深化」も、沖縄も

 日米関係もまた再スタートである。

 菅直人首相とオバマ米大統領が初の首脳会談を行った。両氏は「アジア太平洋の平和と安全の礎」として日米同盟の重要性を確認し、首相は9月の国連総会時に訪米する意向を表明した。

 米海兵隊普天間飛行場の移設問題は、鳩山由紀夫前首相の稚拙な運びによるところが大きいとはいえ、歴史的な政権交代によって生まれた内閣を崩壊させる引き金を引いた。

 日米関係の大局からみて、一基地の問題が両国関係全体をぎくしゃくさせ、日本の首相交代にまでつながったことは、双方にとって不幸だった。

 だからこそ、両首脳とも今回の会談を、信頼関係を築き直す第一歩と位置づけて臨んだに違いない。

 首相は鳩山前政権下で結ばれた日米合意の履行を約束し、大統領も「日本政府にとって簡単な課題でないことは理解している。米軍も地域に受け入れられる存在であるよう努力したい」と応じた。

 大統領から首相の訪米を要請したのも、前首相との間で機能不全に陥った首脳外交を立て直す狙いからだろう。

 しかし、普天間移設を実現する政治的困難さは何ら変わっていない。

 沖縄の民意の大方は、日米合意に盛り込まれた名護市辺野古への移設に反対している。菅政権が合意に従い、地元の理解抜きでも、8月末までに滑走路の場所や工法を決めた場合、県民の反発は一層強まるだろう。11月の県知事選で県内移設反対派が当選すれば、実現はさらに遠のく。

 首相は移設と並行して、沖縄の負担軽減に全力を尽くすことで地元の理解を得たい考えだ。今回、大統領にも直接、協力を求めた。

 しかし、首相にはさらに踏み込んで欲しかった。沖縄の厳しい現状や日米安保体制を安定的に維持するためにも沖縄の負担軽減が欠かせない事情を、もっと率直に語れなかったものか。

 短時間の初顔合わせとはいえ、無難に調え過ぎた印象は否めない。難しい課題を脇に置いたままで日米のあるべき首脳関係を築けるとは思えない。

 両首脳は「同盟深化」の議論を続けることでも一致した。テロや核拡散、地球温暖化、大規模災害など、地球規模の新たな脅威にどう対応するかが中心となろうが、米軍と自衛隊の役割分担の見直しに発展する可能性もある。

 首相は大統領に「日本国民自身が、日米同盟をどう受け止めるか、将来に向かってどういう選択を考えるか、もっと議論することが重要だ」と語った。沖縄の基地問題についても、大きな文脈の中で打開策を考えたい。

 同盟深化と沖縄の負担軽減を一体的に考えるために、国民的な議論を始めなければいけない。首相にはそれを主導する責任がある。

検索フォーム

角界賭博問題―開催優先では出直せない

 開催か、中止か。野球賭博問題にからみ、注目されていた大相撲名古屋場所について、日本相撲協会は28日の臨時理事会で、来月11日から開くことを決めた。

 外部有識者による特別調査委員会が「勧告」で、条件とした親方や力士らへの処分をほぼ受け入れた上での開催ではある。だが、まだ事件の全容が明らかではないままの場所開催には強い疑問を感じる。

 「条件」とは、野球賭博にかかわっていた大嶽親方と時津風親方、大関琴光喜関への懲戒処分のほか、関係した力士の謹慎休場、武蔵川理事長ら親方の謹慎処分などだ。

 賭博問題は単なる特定の個人の不祥事ではない。51ある相撲部屋のうち、現時点で14部屋の親方や力士らが賭博に関与していた事実は、角界の構造汚染を物語っている。維持員席が親方を介して暴力団関係者に渡っていた問題などを含め、角界そのものが反社会的勢力にむしばまれているのだ。

 そもそも賭博問題は警察の調べがまだ終わっていない。特別調査委の調べもまだ続いている。全協会員約千人を対象にした調査を書面で行っている。仮に追加調査で重大な事例が判明した場合にはどうするのか。

 そんな現状を考えれば、場所開催を中止してでも、事件の全容解明に努め、角界の抜本的な改革を考える方が先ではないか。

 場所開催の中止は、暴力団に屈することになるという声があるが、倒錯した議論だ。角界の大掃除が中途半端なまま興行を続ける方が、暴力団には都合がいいだろう。

 名古屋場所では、琴光喜ら十両以上の70人のうち、2割近い力士が土俵に上がらない。勧告に従い、最高責任者である理事長が謹慎して、理事長代行が場所運営を担うのも極めて異例だ。師匠が謹慎したまま場所に臨むことになる部屋も多数ある。

 そんな異常事態の中、あえて名古屋場所を開く理由は何なのか。

 入場料収入だけで10億円を超えるという興行的側面からの判断が優先的に考慮されたのだとしたら、当事者たちは、事態の深刻さをまだ理解していないというほかない。

 協会執行部は「死に体」も同然だ。外部理事を除く理事10人中、武蔵川理事長ら4人が謹慎である。場所開催の可否を判断する前に、執行部は自ら総辞職し、まずは責任を取る。その上で監督官庁の文部科学省の指導を仰ぎながら、新しい顔ぶれで協会を立て直す方策を探るのが筋ではないか。

 角界は土俵を最も神聖視してきたはずだ。名古屋場所で下位力士の引き上げなど「水増し」で取りつくろうような運営をするのだとすれば、それは土俵を自ら汚すことにもなる。

検索フォーム

PR情報