和の力をあらためて思う。といってもumami(うま味)が国際語になるなど、世界に人気が広がる日本料理の話ではない。岡田ジャパンのことだ▼サッカー日本代表は、W杯一次リーグ最終戦でデンマークを破って見事、決勝トーナメントへの進出を決めた。確かに、本田選手ら個の力も目立つが、やはり大きいのはこのチームを包む和の空気だろう▼「チームが一つになっている」「ベンチの雰囲気がいい」と選手らは言い、岡田監督は「サッカーがチームスポーツであることを証明した」。実際、チームのいざこざが伝えられた強豪フランスやカメルーンはあえなく敗退した▼ゴールを決めた選手が真っ先に控え選手らのところに向かうなど一体感を育(はぐく)もうとする意識も強い。オランダ代表の元監督ファン・ファール氏の言葉、<現代サッカーのスターとはチームである>(岩永修幸編『蹴球(しゅうきゅう)神髄』)を体現しているかのようだ▼素晴らしいシュートがポストに弾(はじ)かれるなど運も勝負を左右するが、日本はそれを味方につけている部分もある気がする。<名監督というのは、運が大事。運の悪い名監督なんて、聞いたことがない>とは他(ほか)ならぬ岡田監督の言葉だ▼和の空気と、運。『星の王子様』じゃないがまさに<大切なものは目に見えない>。どうか、この大事な二つを維持して難敵パラグアイも撃破してほしい。