HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17239 Content-Type: text/html ETag: "157e4e-4357-a2af0740" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sat, 26 Jun 2010 00:21:44 GMT Date: Sat, 26 Jun 2010 00:21:39 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年6月26日(土)付

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 日本のサッカー史には、いくつかの地名が太字で記されている。「ドーハの悲劇」があり、「マイアミの奇跡」と「ジョホールバルの歓喜」があった。早朝の列島を一つにして、誇れる戦果がまた、南アフリカの都市名で刻まれた▼「ルステンブルクの自信」とでも呼ぼうか。W杯の日本代表が、デンマークを下して決勝トーナメントに進んだ。引き分け狙いではなく、格上を攻めきっての完勝である▼鮮烈なのが剛柔二つのフリーキックだ。本田の無回転シュートは距離35メートル。軌道が定まらぬブレ球が、標高1500メートルの軽い空気を切り裂き、ぐーんと伸びた。遠藤の2点目は美しいカーブを描いて枠内に。そして、岡崎のだめ押しが国中を安心させた▼キックオフは日本時間の午前3時半。夜更かしでつなぐには遅く、試合後の仮眠もままならない。背中の真ん中のような時間帯だったが、徹夜も、早起きも報われた。ハーフタイムの朝焼けを忘れまい▼平日の未明なのに、テレビの最高視聴率は40%に達した。同じ映像を、同じ思いで見つめ、同じ歓喜に浸る。大あくびで駅に向かう人々に親しみを覚えるのだから妙なものだ。一つの勝利で世の中の空気は変わる。朝の列島を包んだ一体感は、たぶん日本の再生にも欠かせない▼「はやぶさ」の帰還からこっち、国の運気は上向いているかにみえる。ならばサッカーの枠を超え、歴史に刻まれるW杯を期待しよう。顧みて、2010年の梅雨が日本の転機だったと……。岡田監督ではないが、もう一度、世界を驚かせてみたい。

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