HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 23 Jun 2010 22:15:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:パリジェンヌがエクレールをぱくつく姿を歌った「お菓子と娘」…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年6月23日

 パリジェンヌがエクレールをぱくつく姿を歌った「お菓子と娘」(西条八十作詞・橋本国彦作曲)は、戦前から戦後に愛唱された楽しい曲だ。沖縄戦の最中、野戦病院の壕(ごう)を掘る「ひめゆり学徒隊」を励まそうと暗い壕の中で若い女教師が歌うと、生徒たちは大喜びだった▼元学徒の証言を記録した二〇〇七年の映画「ひめゆり」ではそんなエピソードも語られる。なごやかな場面はつかの間だった。この後、学徒は砲弾が炸裂(さくれつ)する苛烈(かれつ)な戦場に身を置くことになる▼傷病兵の世話に追われた彼女たちは、突然の解散命令で敵陣のど真ん中に放り出された。百二十三人の若い命が奪われ、生き延びた者は、後ろめたさを感じながら戦後を生きた▼沖縄はきょう慰霊の日を迎え、菅直人首相が戦没者追悼式に出席する。焦点の米軍普天間飛行場の移設問題は、何も解決していないのに、新政権発足でメディアの報道は潮が引くように減ってしまった▼<ウルサイゾ・ダマレ・沖縄・核の傘借リテイルノダ主権を抵当(かた)に>。男子学生の学徒隊「鉄血勤皇隊」の一員だった新垣秀雄さんは〇四年八月、沖縄国際大学構内に米軍ヘリが墜落した後、怒りにまかせて歌を書き付けた▼日米合意をたてにして、地元の理解を得ずに新たな基地を押しつけるなら、この国は六十五年たっても、沖縄を「捨て石」と考えていることになるだろう。

 

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