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6月23日付 編集手帳

 コラムニストの青木雨彦(あめひこ)さんは、小動物の名前である古語「雨彦」から筆名を採った。アマガエルからの連想だろう、長い間、「雨彦」はカエルの異称とばかり思い込んでいたという◆後年、ヤスデのことだと知ってあわてたと、エッセーに書いている。雨上がりによく姿を見せることから、古人は「雨彦」(あまびこ)と名づけたらしい◆「本当に虫を愛するのは日本人とギリシャ人だ」と小泉八雲は言ったが、見て楽しい姿でもないヤスデにまで親しみのこもった名前を授けたところにも、日本人の虫好きがうかがえよう◆1万匹を超す貴重な昆虫標本を集めた『大昆虫博』(9月5日まで)が、東京都墨田区の江戸東京博物館で始まった。「ヘラクレスオオカブト」「トリバネアゲハ」といった世界最大級のカブトムシやチョウの標本も見ることができる。虫好きには垂涎(すいぜん)の的で、虫嫌いの人には宗旨変えを試みるいい機会だろう◆折しも蛍の季節である。〈血の(すえ)に別るるごとし手のくぼの螢を闇に戻さむとして 竹山広〉。血縁者の霊魂を見ているような――蛍に限らず、小さな虫にはそういう風情がある。

2010年6月23日01時28分  読売新聞)
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