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6月21日付 編集手帳

 国際政治学者で東工大教授だった永井陽之助さんが吉野作造賞を受賞して論壇に華々しくデビューしたのは、1967年のことだ。非武装平和主義やマルクス主義がまだ論壇で優勢だった当時、対抗する現実主義の立場から斬新な政治理論を展開して反響を呼んだ◆菅首相は、所信表明演説の中で今は亡き永井教授との交流にも触れ、「現実主義を基調とした外交」を推進したいと語った。意外に思った人も多かっただろう◆東工大の紛争で学生側のリーダーだった菅氏は、学長補佐の永井教授と対峙(たいじ)し、やがて親しくなる。古今の哲学からアインシュタインの物理学まで視野に入れた華麗な理論に()かれて行ったようだ◆政治の世界では一挙に問題が解決できるという「全能の幻想」や「ユートピア思想」は危険だ。「より小さな悪」を選択しなければならない――。“永井政治学”は、政治が利益調整のアート(術)であることも強調した◆普天間問題で幻想をふりまいた鳩山前首相にこそそのまま贈るべき言葉だろう。菅内閣の今後は未知数だが、政治に成熟したリアリズムが求められていることは間違いない。

2010年6月21日01時41分  読売新聞)
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