HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 19 Jun 2010 22:13:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:貸金業法改正 再出発は相談窓口から:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

貸金業法改正 再出発は相談窓口から

2010年6月19日

 改正貸金業法が十八日、完全施行された。多重債務問題解決の特効薬と期待されるが、借入枠の制限などで混乱の恐れもある。法の周知は当然だが、問題を抱え込まず、相談窓口を訪問してほしい。

 改正法は四年前、全会一致で成立し、段階的に施行されてきた。今回は、貸し出しの上限金利を29・2%から20%に引き下げるとともに、年収の三分の一を超える貸し付けを原則禁止する「総量規制」などが導入された。多重債務者を出さないために、完全施行を歓迎したい。

 心配なのは、今借りている人への影響だ。緩和措置として、金利の低いローンへの借り換えは新規でも認めたほか、個人事業者を総量規制の対象外にしたが、改正で借りられなくなる人もいる。

 金融庁の調査では、貸金業の利用者は昨年十二月現在、千三百七十六万人。日本貸金業協会の調査では、利用者の約半数が年収の三分の一以上借りており、さらにその約半数が生活維持のために新たな借り入れが必要と答えた。これに従えば、約七百万人が借りられず、三百数十万人が生活に困ることになる。また、専業主婦(夫)は今後、配偶者の同意書などが必要となるが、家族に内緒にしている人も少なくないという。

 ところが法律の周知は進んでいない。同協会の調査では、認知率は利用者全体の49・2%、専業主婦(夫)では37・0%だ。業界、金融庁、消費者庁はもちろん、地方自治体も協力し、周知に全力を挙げてほしい。

 消費生活センターや弁護士会、司法書士会などが相談窓口を設けている。借金の整理や自己破産などの手続きを通じ、生活再建を助けてくれる。困った人は相談してほしいが、足踏みする人もいる。

 滋賀県野洲市は二〇〇四年度から、各課連携で多重債務の救済に取り組む。例えば、生活保護の申請者が多額の借金をしていることが分かると、消費者相談の係につなげ、借金の解決方法をアドバイスする。多重債務者は公共料金などを滞納することもあるため、今は市民生活相談室を中心に税金、水道料、学校給食費などの担当課が情報を共有し、相談の掘り起こしをしている。

 多重債務者の中には、買い物症候群など精神面の問題も指摘される。カウンセリングも必要だろうが、ぜひ再出発をし、周りも見守ってほしい。違法なヤミ金融は潜行するかもしれない。くれぐれも用心したい。

 

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