HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 18 Jun 2010 01:13:41 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:商談であれ何であれ、物事の成否というものは、最後の最後に決…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年6月18日

 商談であれ何であれ、物事の成否というものは、最後の最後に決定的なポイント、つまりは「勝負どころ」が来ることが多い▼その責任を負うのは、つらい仕事だ。うまく乗り切れば評価は高まるが、もし下手をすれば、すべてを台無しにしてしまう。それこそ<九仞(じん)の功を一簣(き)に欠く>。折角(せっかく)、大きな山を築いてきたのに最後に簣(もっこ)一杯の土が足りないばかりに未完成に終わった、と責められよう▼当然、プレッシャーも一入(ひとしお)だ。目立つチャンスでもあるが<笛吹かず太鼓叩(たた)かず獅子舞の後足(あとあし)になる胸の安さよ>という道歌もある。そんな難しい役は御免、のんびり後ろ足を演じる方が…と思うのもまた人情だろう▼思えば、プロ野球で試合の最後を締める抑え投手とは、そんな厳しい仕事ばかりを延々続けているのだ。その代表格、中日ドラゴンズの岩瀬仁紀投手が十六日の日本ハム戦で通算250セーブを達成した。名球会入りの資格も満たす、史上三人目の快挙だ▼抑えに転向した二〇〇四年から「一つ一つの積み重ね」(本人)で到達した数字。昨季は十一年連続五十試合登板、五年連続30セーブ以上も記録している▼いわば、常に修羅場が“職場”。きっと<胸の安さ>など無縁の日々だろうに、性穏やかでもの静かな人柄と聞く。孔子じゃないが、<威あって猛からず>か。名投手の大きな区切りを祝福したい。

 

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