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丹羽新中国大使 経営感覚生かし「国益」主張を(6月17日付・読売社説)

 中国通のキャリア外交官とは違う、民間出身の持ち味を発揮して、日中の戦略的互恵関係の進展に努めてもらいたい。

 政府は、駐中国大使に丹羽宇一郎・伊藤忠商事相談役を充てることを決めた。

 中国大使への民間人起用は初めてで、主要国大使人事としても、極めて異例である。

 大使人事は、「政治主導」の名の下、単なる官僚外しに走ってはなるまい。それを前提に、有能な人材を適材適所で登用するなら、民間人を排除する必要はない。

 丹羽新大使は、伊藤忠で社長、会長などの要職を経て、政府の地方分権改革推進委員会委員長などの公職も務めてきた。

 今回は、そうした実績と商社マンとしての国際感覚、対中貿易・投資など経済分野での経験などが買われたものとみられている。

 ただ、不安もある。

 丹羽氏は、当然ながら外交交渉の経験はない。外交・政治分野の中国政府要人の人脈も限られる中で、情報収集などに困難をきたすこともありえよう。

 外務省は、大使館にスタッフを手厚く配置するなど、新大使が仕事をしやすいよう、補佐態勢を整えることが大事だ。

 経済界にはビジネスで利害関係のある商社の出身者起用を危惧(きぐ)する声もある。丹羽氏は、その点に心して職務にあたってほしい。

 駐中国大使のポストは、これまで主に、中国語を研修し長らく中国を担当する、「チャイナスクール」と呼ばれる外務官僚によって占められてきた。

 チャイナスクールは、瀋陽総領事館の亡命者連行事件、台湾の李登輝・元総統への査証発給問題などをめぐって、「中国側に配慮しすぎる」と、その軟弱な対応ぶりが強く批判された。

 新大使は、こうした対中外交のイメージを(ふっ)(しょく)するよう努めることが求められる。

 日中2国間では、東シナ海ガス田開発の条約交渉が近く始まる。中国海軍の遠洋進出に伴うトラブルも相次いでいる。

 いずれも日本の国益や安全保障にかかわる重大な問題だ。新大使には、日本として主張すべきは主張する毅然(きぜん)たる姿勢が肝要だ。

 韓国哨戒艦の沈没事件や北朝鮮の核開発の問題では、中国の北朝鮮に対する影響力行使を求めなければならない。

 軍縮や地球環境といったグローバルな課題でも、中国に対し、応分の責任を果たすよう促すこともまた重要な仕事になる。

2010年6月17日01時41分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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