HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37963 Content-Type: text/html ETag: "15c1d6-161c-8b1b0e40" Expires: Wed, 16 Jun 2010 01:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 16 Jun 2010 01:21:10 GMT Connection: close 野球賭博汚染 暴力団排除が角界再生の道だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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野球賭博汚染 暴力団排除が角界再生の道だ(6月16日付・読売社説)

 大相撲の力士に賭博が蔓延(まんえん)していることが分かった。看板力士の大関琴光喜も、犯罪行為である野球賭博に手を染めていたことを認め、名古屋場所を休場することになった。

 暴行騒動で横綱朝青龍が引退に追い込まれたばかりの相撲界で、今度は大関の不祥事である。日本相撲協会の屋台骨を揺るがす異常事態といえよう。

 相撲協会が、力士、親方らに自己申告させたところ、野球賭博には琴光喜を含む29人が関与したことを認めた。仲間内での賭けゴルフや花札、マージャンなどには36人がかかわっていた。

 相撲協会は、調査結果を警視庁に報告し、捜査の結果を待って対応を決めるという。

 当初は、申告した者については厳重注意にとどめて幕引きを図る方針だった。しかし、所管の文部科学省から、「警察にも言わない段階で情状酌量は早すぎる」と注意され、方針転換せざるを得なくなったというわけだ。

 相撲協会の危機管理の甘さが露呈したといえる。

 野球賭博には、暴力団がかかわっているケースが多い。力士の賭け金が暴力団の資金源となるようなことが、あってはならない。関係した力士への厳しい処分は避けられまい。

 発端となったのは、琴光喜が野球賭博にかかわり、暴力団関係者から口止め料を払うよう脅されたという週刊誌の報道だ。

 琴光喜は賭博への関与を否定していたが、他の力士たちが申告するに及んで、言い逃れができなくなったということだろう。大相撲を担う大関としての自覚を全く欠いている。

 相撲界には、「タニマチ」と呼ばれる後援者が力士や親方を援助する慣習がある。その付き合いの中で、力士らは暴力団関係者と接する機会もあるとされる。

 地方巡業などの興行面でも、暴力団の介在が指摘されてきた。

 土俵近くの特別席で多数の暴力団員が観戦していたことも、問題になったばかりだ。席の確保にかかわっていた親方の部屋は閉鎖処分となり、この親方は、暴力団との交際があったことを認めた。

 角界と暴力団との根深い癒着がうかがえる。

 相撲協会は、税制面で優遇措置を受けている公益法人だ。社会に貢献すべき団体に属する力士や親方が、反社会勢力との関係を断つのは、当然のことである。

 ()しき体質の一掃が、相撲協会が存続していく唯一の道だ。

2010年6月16日02時00分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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