HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 15 Jun 2010 20:15:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:代表質問 慎重答弁では物足りぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

代表質問 慎重答弁では物足りぬ

2010年6月15日

 菅直人首相の所信表明演説に対する各党代表質問が衆院で行われた。首相交代後初で本格的論戦が期待されたが、参院選を意識してか、首相は慎重答弁に終始し、議論が深まったとは言い難い。

 先週発足した菅内閣をめぐる論点は、新体制となった民主党政権が何を目指すのか、鳩山前政権時代をどう総括するのか、だろう。

 しかし、首相は演説台の答弁書を読み上げる場面が、特に政策に関しては多かった。新米首相とはいえ、物足りなさは否めない。

 自民党の谷垣禎一総裁は、予算を環境や介護、医療などの「成長分野」に重点投入し、経済成長を図る、いわゆる「第三の道」について「首相の成長理論は財政支出と結び付けば、野放図な歳出膨張に陥る」とただした。

 首相は「強い経済、強い財政、強い社会保障実現のため不退転の決意で臨みたい」などと強調したが、なぜ第三の道が経済成長に有効なのかという、説得力のある説明は最後まで聞かれなかった。

 「政治とカネ」の問題でも、鳩山由紀夫前首相、小沢一郎前幹事長の辞任を「政治的には大きなけじめ」として、両氏にさらなる説明を求める姿勢は示さなかった。

 かつては、その鋭い追及姿勢から「攻めの菅」と呼ばれたが、今や自民党から「逃げの菅さんのイメージに変わった」(小泉進次郎衆院議員)と言われる始末だ。

 首相答弁に物足りなさが残ったのは、菅内閣の支持率が前内閣とは一変し、64%を超える高水準に達したことと無縁ではなかろう。

 失言が誘発されるような本格的な論戦を避け、高い支持率のまま参院選に突入したいのが本音ではないかと勘繰ってしまう。

 首相は、自民党からの質問通告が遅れたことを、答弁準備不足の言い訳にしていたが、その責めは民主党側も負わねばなるまい。

 そもそも代表質問の日程設定が遅れたのは、郵政改革法案の取り扱いをめぐり、民主党と国民新党との調整が難航したからだ。

 与党側は、国会を延長し、衆参両院で予算委員会を開く自らの提案も引っ込めた。論戦の舞台を減らし、追及の機会を与えないというのなら看過できない。

 せめて、きょう参院で行われる代表質問で議論を深め、今後、行われる党首討論会などでは政策を堂々と競い合ってほしい。

 高支持率にあぐらをかき、論戦を避けるような態度は、それこそ「民主党らしい」とは言えない。

 

この記事を印刷する