HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17242 Content-Type: text/html ETag: "50e315-435a-cb5c07c0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Wed, 16 Jun 2010 01:21:11 GMT Date: Wed, 16 Jun 2010 01:21:06 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年6月16日(水)付

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 好みは3―2、とりわけ得失点が○××○○の順に並ぶ再逆転勝ちがいい。サッカーの話である。これが堅守のイタリアあたりだと、通は1―0を尊ぶという。虎の子を守り通す展開だ▼それもこれもお国柄。米国では、なかなか点が入らない「退屈さ」が嫌われ、サッカーは長らく見せるスポーツにならなかった。100点前後で競うバスケットボールの故郷である。0―0では気晴らしどころかストレスがたまりかねない▼W杯の日本代表が、イタリアン好みのスコアでカメルーンを下した。右足でセンタリングするかと思わせた松井が、切り返して左足でクロスを上げる。このタメに反応した本田が守備陣の裏に回り込み、足元に収めたボールを落ち着いてけり込んだ▼「金髪」の本田さん。優等生的な物言いが多い代表選手の中で、大阪弁の大口(ビッグ・マウス)が異彩を放つ。それも力があってのことだと、ここ一番で証明してみせた。組織サッカーも、解きほぐせば個人技の積み重ねだ。次も存分に暴れてほしい▼終盤、相手の一撃がバーをたたき、苦い記憶がよみがえった。ロスタイムは4分。いつもながら秒針のなんと重いことか。ブブゼラの大音響も構わず叫び続けたのだろう。試合を振り返る岡田監督の声はかれていた▼4度目のW杯にして国外での初勝利。この一戦で、辛抱の果てには歓喜があると知った。残るオランダとデンマークも手ごわいが、16強への挑戦権を手に戦えるのは大きい。見る側は、最後までハラハラドキドキできることになった。その先にワクワクがある。

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