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6月15日付 編集手帳

 シリーズの何作目か、映画『男はつらいよ』で寅さんが語ったせりふを覚えている。〈夏になったら鳴きながら帰ってくるあのツバクロさえも、何かを境にばったり姿を見せなくなることもあるんだぜ…〉。(つばめ)は初夏の旅人である◆東京・大手町にある読売新聞の東京本社にもこの季節、燕の一家が訪れて巣をつくる。通用口から少し建物のなかに入った天井近くをねぐらに、ヒナでもいるのか、今年も親鳥がいそがしく餌を運んで行き来している◆車も出入りするので騒がしく、眺めて心の弾む顔が通るわけでもなし、どこが気に入ったのか燕に一度聞いてみようと思っているうちに最後の夏を迎えた◆社告でご存じのように、社屋の建て替え(2014年完成予定)で現社屋は今年秋から解体が始まる。寅さんが旅を終えて柴又に帰ってみると、おいちゃんやおばちゃんのいる草団子店が消えていた…来年の今ごろ、燕は戸惑っているかも知れない◆関東地方がきのう、梅雨入りした。いつもならば、駆け足で通り過ぎてほしいと願う鬱陶(うっとう)しい季節である。ゆるやかに流れよ――と、今年は「時」に告げてみる。

2010年6月15日02時10分  読売新聞)
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