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天声人語

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2010年6月12日(土)付

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 目標を高くかかげると「非現実的」と言われ、現実的になれば「覇気がない」などと腐(くさ)される。人間永遠の矛盾かもしれない。「ベスト4」を掲げたサッカーW杯の岡田ジャパンはさしずめ前者となろうか▼自民党は後者らしい。谷垣総裁の語る「40議席台」という参院選の目標に、党内から「士気が上がらない」といった声が聞こえているそうだ。以前なら「敗北」の水準という。今の身の丈なのだろうが、しぼんだ体躯(たいく)がどこか寂しい▼中国の俗諺(ぞくげん)に「世情 冷暖を看(み)る」と言うそうだ。「人面(じんめん) 高低を逐(お)う」と続く。その勢力や地位の高低しだいで、人はなびき、そっぽを向くと。「2位ではだめなのか」は蓮舫さんの名せりふだが、1位転落の悲哀を噛(か)みしめているのが下野した自民かもしれない▼夢よもう一度、の思いか。参院選に向けたポスターには「いちばん」の文字を大書した。本意は日本が再び1番の国になる意味という。つまり「攻め」だろう。谷垣氏は菅首相の説く「最小不幸社会」に、「縮み志向でネガティブ」と敵愾心(てきがいしん)を燃やす▼かつて英国経済が斜陽にあったとき、サッチャー元首相は立て直しを担った。「下りのエスカレーターを駆け上がろうとしていたようなもの」だったと回顧している。政治信条や手法は措(お)いて、強烈なリーダーシップには目を見張らされた▼与党も野党も、日本の政治にそれが欠ける。きのうの所信表明で菅首相も認めていた。下る川を漕(こ)ぎ上がる力は、まだ日本にあるはずだ。ともに汗をかきたくなるリーダーと、なるか。

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