HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38048 Content-Type: text/html ETag: "100487-1621-119d8480" Expires: Fri, 11 Jun 2010 00:21:43 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 11 Jun 2010 00:21:43 GMT Connection: close 安保理制裁決議 イランはウラン濃縮をやめよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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安保理制裁決議 イランはウラン濃縮をやめよ(6月11日付・読売社説)

 国連の安全保障理事会が、イランに対する追加制裁決議を、日本などの賛成多数で採択した。

 2年ぶり、通算4度目の制裁決議である。

 イランは、過去の決議を無視したまま、ウラン濃縮活動をやめないどころか、規模を拡大している。「核エネルギーの平和利用」であって軍事目的ではないと強く主張しても、不信感は増幅するばかりだ。

 平和利用を隠れみのに核開発をした北朝鮮のあとをたどるかのようなイランに対して、安保理は、制裁強化でこたえる以外になかった。当然の決定だ。

 新たな決議は、核や弾道ミサイルの開発にかかわる人、モノ、カネへの締め付けを強めている。

 イランとの深いつながりから、これまで制裁強化に消極的だった中国やロシアも支持に回った。その政治的な意味は大きい。イランは真剣に受け止めるべきだ。

 資産凍結の対象に指定された団体は一挙に倍増して75となった。その多くは、イラン国防の中核をなす精鋭部隊「革命防衛隊」傘下の企業や研究所だ。

 イランへのガソリンの輸出禁止など、エネルギー分野の制裁は盛り込まなかった。イラン国民の暮らしを直撃すれば、対外強硬論を招きかねず、逆効果になる、と判断したものとみられる。

 今回、初めてトルコとブラジルが決議案に反対票を投じ、全会一致の採択とはならなかった。

 両国は先月、イランとの協議でイランが保有する低濃縮ウランの大半をトルコに搬出し、見返りに研究炉用の核燃料棒を第三国から受け取る案をまとめていた。決議への反対は外交努力が水泡に帰したことへの不満の表明だろう。

 同様の提案は昨年秋、米欧がもちかけ、イランもいったん同意しながら、その後一転、拒絶して実現しなかった経緯がある。

 イランが核疑惑を払拭(ふっしょく)したいなら、まずウラン濃縮活動を停止する必要がある。

 イランは、濃縮度3〜5%の低濃縮ウランの保有量を増やし続けている。核兵器2発分の高濃縮ウラン生産に十分な量とされる。

 しかもイランは、濃縮度を20%に高めることに成功したという。濃縮度90%以上の核兵器用の高濃縮ウラン生産は時間の問題だ。

 このままではイスラエルがイランを空爆する可能性も高まる。

 日本政府も、かねてイランに濃縮活動の停止を求めてきた。岡田外相が言うとおり、イランは「賢明な決断」をすべき時だ。

2010年6月11日02時07分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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