HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 11 Jun 2010 02:15:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:サッカーW杯 勝敗を超えた楽しみも:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

サッカーW杯 勝敗を超えた楽しみも

2010年6月11日

 ひとつの競技を通じて、世界の文化を感じることができる。サッカー・ワールドカップ(W杯)はそんな舞台だ。南アフリカ大会は十一日開幕。さあ、その多彩さをたっぷり楽しもう。

 サッカーは世界で最も愛され、人気を集めているスポーツだ。国際サッカー連盟には、国連や国際オリンピック委員会を上回る二百八カ国・地域が加盟している。その中から、各大陸予選を勝ち抜いた三十一カ国と開催国の南アフリカが、アフリカ大陸初の開催となる記念すべき大会にこまを進めてきた。決勝戦は七月十一日。一カ月にわたって行われる六十四試合は、すべてが見ごたえのある熱戦となるに違いない。

 スーパースターたちの競演や最高レベルの戦略、戦術が注目を集めるW杯だが、もうひとつの魅力はといえば、各チームの戦いぶりにそれぞれの国ならではの色があるところだろう。各国のリーグで大陸を超えた選手、指導者の行き来が盛んになっているいま、どこのスタイルも似通ったものになりつつはあるが、とはいえナショナルチームとなれば、そこには国や民族固有の特長や気質が息づいている。W杯はさまざまな個性のぶつかり合いでもあるのだ。

 華麗なテクニック。流れるようなパスワーク。思いもかけないひらめき。伝統の堅守。最後まであきらめない粘り。固い団結力。剛健なパワー。見る者をひきつけてやまない多彩な魅力は、それぞれの国民性、民族性が生み出すスポーツ文化そのものと言っていい。また、それらは国民がどんなサッカーを見たいと望んでいるかの表れでもある。長い歴史と伝統を持つチームほど、その国ならではの味や色が、土台に一本の芯となって通っているようだ。

 ところで日本代表チームはどうだろうか。勤勉さ、素早さを生かして走り勝ち、個を組織で圧倒する「日本らしさ」を目指しているものの、いまのところはまだ、日本ならではの色がくっきりと見えてはいないように思える。これで四大会連続のW杯出場。独自の個性を世界に感じさせる戦いを、今回はぜひとも期待したいものだ。

 幅広く、かつ奥深い魅力にあふれるW杯。それは、熱く激しい勝負を楽しみながら、さまざまな文化、多彩な個性にあらためて目を向ける機会でもある。四年に一度の晴れやかな祝祭を、戦いの場だけでなく、世界がひとつに解け合う舞台ともしたい。

 

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