HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 11 Jun 2010 01:13:51 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:泉の領有をめぐって、マムシと水ヘビが争う話が、イソップにあ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年6月11日

 泉の領有をめぐって、マムシと水ヘビが争う話が、イソップにある▼水ヘビ嫌いのカエルたちは、マムシに応援を約束し激励したが、いざ決戦となると、ただ大声で鳴いているだけ。何とか勝利したマムシが、戦いの後、「少しも加勢しなかったではないか」と不平を言うと、カエルたちは答えた。「私たちの加勢は声でするのです」▼世界中のサッカーファンが、今、そんな心境であろう。ピッチに飛び出して相手ボールを奪うような助太刀はできないが、力の限り声援は送るぞ、と。今夜遅く、いよいよワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が開幕する▼よく「声援が選手の背中を押す」などと言うが、無論、物理的にはあり得ない。古代ギリシャの寓話(ぐうわ)作者も<言葉だけの援助は屁(へ)の突っ張りにもならぬ>(『イソップ寓話集』中務哲郎訳)と現実的だ。だが、苦戦の予想も目立つわが代表。声援に宿る「人知を超えた力」も信じたいところである▼大体、勝負事に非科学的振る舞いはつきものではないか。験を担いだり、おまじないに頼る選手も少なくないし、S・クーパー著『サッカーの敵』によれば、今度の舞台、アフリカでは、「ムーティ」と呼ばれる呪術(じゅじゅつ)を大事にしているチームや選手も多いとか▼ひとことで言えば、祈りだろう。今、各国代表の活躍を願う無数の祈りもキックオフの笛を待っているのだ。

 

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