HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 07 Jun 2010 00:13:56 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:一流企業で役員コースに乗った四十九歳のエリートサラリーマン…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年6月6日

 一流企業で役員コースに乗った四十九歳のエリートサラリーマンが、故郷で独り暮らしをしている母親の病気を機に人生を見つめ直し、電車の運転士になりたいという子どもの時の夢を実現させる−▼映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」は、ばらばらだった家族の再生物語でもあり、鉄道ファンならずとも見応えがある。ところが、現実にはさらに上を行く人たちがいた▼訓練費七百万円を自己負担しても、運転士になりたいという男性四人が先日、千葉県のいすみ鉄道に契約嘱託社員として採用された。訓練費は四人とも貯金などで工面して、既に一括納付したという▼「小さいころからの夢を実現させたい」と、三十年近く勤めた会社を辞めた男性は家族に反対されたが、最後は「やりたいことをやってください」と理解してくれたという▼房総半島の水田地帯や山あいの木立の中をのんびりと走るこのローカル線は一九八八年、県と沿線の自治体が出資し第三セクターとして開業。それ以来、ずっと赤字が続き、廃線の危機に直面している。四人の夢がかなうよう経営の再建を願うばかりだ▼映画では、運転士への挑戦を決めた主役の中井貴一さんに、母親役の奈良岡朋子さんが病床から語りかける場面がある。「好きなことをやんなさい。それが一番の親孝行」。母の言葉はありがたい。

 

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