HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 03 Jun 2010 20:13:57 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:卒業シーズンはとっくに過ぎてしまったが、武田鉄矢さんが作詞…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年6月3日

 卒業シーズンはとっくに過ぎてしまったが、武田鉄矢さんが作詞した海援隊の名曲「贈る言葉」の歌詞に、こんな一節がある。<求めないで優しさなんか臆病(おくびょう)者の言いわけだから>。きのう退陣を表明した鳩山由紀夫首相の顔を見た時、この歌詞が頭をよぎった▼優しい人だったのだと思う。社会的な弱者に手を差し伸べたいという気持ちも、歴代首相の中で際立っていた。「命を守りたい」と連呼した施政方針演説にもそれが表れていた▼ただ、八方美人的な優しさは、優柔不断の裏返しでもあった。米軍普天間飛行場の問題では、実現の見通しもないまま、「県外移設」を公言、結局は、沖縄の人たちを裏切った▼退陣の前夜、小沢一郎幹事長らとの会談後、報道陣に親指を立てて見せたあの笑顔はいったい何だったのだろう。政治とカネの問題を抱える小沢氏を道連れにする流れをつくったという満足感だったのか▼選挙向きに総理の「顔」をすげ替えるのは、民主党が「なぜ国民に信を問わない」と厳しく批判していた自民党と何ら変わりがない。言葉の刃はブーメランのように自らに戻ってくる▼安倍内閣以降、四内閣の在職期間を合わせても小泉内閣の千九百八十日に遠く及ばない。毎年、総理が代わる国が国際社会の中で存在感を示せるはずもない。なによりも、政治への不信が、無関心へと変わることが怖い。

 

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