HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 02 Jun 2010 01:14:00 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<オレと同じくれえかなと思うときは、向こうのほうがちょい上…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年6月2日

 <オレと同じくれえかなと思うときは、向こうのほうがちょい上で、うめえやと感心した日にゃァ格段の開きがあるもんです>。落語家の古今亭志ん生の言葉だ。芸事だけでなく仕事にも通じる至言である▼言わんとするのは、決しておごってはいけないよということだろう。<勝って兜(かぶと)の緒を締めよ>との戒め通り、順風満帆のように見える時こそ落とし穴にはまりやすい。政治の世界もまた、例外ではないようだ▼歴史的な政権交代からわずか八カ月で、民主党内から「鳩山降ろし」が公然と噴き上がるとは誰が予想できただろう。鳩山首相じゃ戦えない、と参院の改選組から悲鳴が上がる▼内閣支持率は「危険水域」の20%を切り、政党支持率も泥舟から逃げ出すように有力政治家が去った自民党の後塵(こうじん)を拝した。複数の候補者を擁立した選挙区は共倒れの危機感が漂う▼つまずきは、ツートップの「政治とカネ」と米軍普天間飛行場の移設問題での総理のリーダーシップの欠如が決定的だったが、それだけだろうか。六時間の審議で強行採決した郵政改革法案に象徴されるおごった国会運営は、悲しいほど醜悪だった▼野党時代、与党の強行採決にあれほど「議会制民主主義を踏みにじる」と訴えたのに同じことを繰り返す。古い政治を変えたいと願った有権者の心も踏みにじっていることが分からないのだろうか。

 

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