HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 01 Jun 2010 00:13:58 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:親方処分 ファンの心を忘れるな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

親方処分 ファンの心を忘れるな

2010年6月1日

 不祥事の連鎖が止まらない。相撲界の劣化の状況は底知れぬほど深く、広いようだ。「こんな大相撲なら、もういらない」と辛抱強いファンさえ見放す時が、もうすぐそこまで来ている。

 大相撲の暗部はいったいどこまで広がっているのか。力士暴行死事件、大麻汚染、度重なる問題行動による横綱朝青龍の引退と、どれも相撲界の屋台骨を揺るがしかねない深刻な不祥事が相次いでいるというのに、今度は親方二人が関係する暴力団観戦問題である。その反省なき体質にはあぜんとするほかない。また、大関琴光喜が週刊誌に野球賭博疑惑を指摘され、警視庁の事情聴取を受けたのも気になるところだ。

 暴力団観戦問題で日本相撲協会は、入場整理券を手配していた木瀬親方を二階級降格し、木瀬部屋を閉鎖するという処分を下した。師匠権をはく奪して部屋を閉鎖するという前代未聞の厳罰に加え、寄付行為を改正して反社会的勢力との関係を一切絶つと宣言したのは、協会もさすがに強い危機感を抱いたからだろう。

 ただ、それでも協会の対応が後手に回っている印象は否めない。暴力団とのかかわりは、それこそ古くから引きずってきているものだ。この面に限ったことではない。結局、さまざまな不祥事を引き起こしてきた体質そのものは、ほとんど手つかずのままになっているように思える。

 もはや自浄能力には多くを期待できない。問題山積でイメージが下落し、周囲の目も厳しいというのに、まだ不祥事がやまないのである。こうなれば外部の力をさらに幅広く取り入れるしかない。相撲界はまず「相撲のことは力士経験者でなければわからない」というような意識やプライドを捨てるべきだ。しがらみや因習にとらわれない外部の力に多くをゆだねるほどの思い切りがなければ、手つかずの陰の部分はいつまでも変わらないのではないか。

 こうした状況になっても、温かい目で見守ってくれるファンは少なくない。そうした思いを踏みにじるようなことが、まだこれからも続くようなら、土俵を愛する心も急速に冷えていく。このままでは「こんな相撲界ならもう見たくない」となるのも時間の問題だ。

 この体たらくを見てファンはどう思うか。どうすれば支持してくれるのか。やまぬ不祥事で失った人気と信頼を取り戻すための答えは、すべてそこにある。

 

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