日中韓首脳会談で、韓国の哨戒艦沈没事件への対応に緊密な協議を続けると確認した。中国は南北双方への「中立」を守っているが、北朝鮮が強硬手段を取らないよう、影響力を行使すべきだ。
韓国済州島で開かれた会談は、中国首脳が沈没事件について初めて公式見解を示す場になった。
温家宝首相は会談後の共同会見で、「緊張を段階的に解消し、とりわけ(武力)衝突を避けねばならない」と述べた。「中国は積極的に対話する」と強調したが、沈没が北朝鮮魚雷の攻撃によるものと断定した韓国側の調査結果には言及せず、判断を再び留保した。
中韓二国間の会談では、李明博大統領は調査結果を詳しく説明し、北朝鮮の責任を追及するよう要請した。温首相は韓国側遺族に哀悼の意を表しながらも、「中国は誰も擁護しない」と強調して、今は沈没事件でどちらの立場も支持しない姿勢を明らかにした。
昨年、北朝鮮が核実験を強行した際は、中国は国連安保理の制裁決議に加わった。核実験は国際社会の誰もが支持できないからだ。
今回の哨戒艦沈没は、中国にとってもう少し事情が複雑だ。
北朝鮮は一貫して関与を否定している。中朝間には実効性が弱まっているとはいえ、軍事同盟が存在する。「六カ国協議」の議長国として、北朝鮮を協議に復帰させて核問題解決をリードすべき役割もある。
韓国は今週内にも事件を国連安保理に提起する構えだが、中国には、安保理での制裁論議が北朝鮮を追い詰め、かえって緊張が高まるのではないかという慎重論が根強いようだ。
北朝鮮経済は中国に大きく依存している。食糧や原油の支援がなければ、食生活も産業も立ちゆかない。
北朝鮮がこのまま強硬姿勢を続けるなら、中国は経済支援を中断するか大幅に削減して圧力をかけ、暴走しないための制止役を果たすよう望みたい。国際社会は中国の役割と責任を期待している。
鳩山由紀夫首相は首脳会談で、安保理提起を支持した。日本は北朝鮮船舶の貨物検査を強化する特別措置法を国会で成立させ、北朝鮮への送金規制を強めるなど、迅速に対応している。
六月二十五日は朝鮮戦争開戦から六十年になる。米韓両軍はこの前後に合同軍事演習を計画している。不測の事態を招かぬよう、韓国側の自制も引き続き求めたい。
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