社民党が全国幹事長会議で連立政権からの離脱を正式決定した。米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり福島瑞穂党首が閣僚を罷免されたためで、国の基本政策が一致しない内閣からの離脱は当然だ。
連立離脱のきっかけは、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古に「県内移設」させる方針を鳩山由紀夫首相が決めたことだ。福島氏は閣議での署名を拒み、首相は福島氏を罷免した。
「罷免は社民党切り捨て」とする党執行部は、幹事長会議で連立離脱を提案し、一部県連から慎重論が出たものの了承された。
「最低でも県外移設」という自らの公約を破った首相が、公約実現を求めた福島氏を罷免するのは筋違いだが、安全保障という重要政策での不一致が顕在化した以上、連立離脱はやむを得まい。
同時に、連立離脱しても、昨年の衆院選での公約実現に引き続き責任を負う立場に変わりはない。
特に社民党は、製造業への派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案の成立を強く主張してきた。
重野安正幹事長は幹事長会議後の記者会見で「われわれは離脱するが、政党間の付き合いは粘り強く追求したい」と語った。
連立離脱しても、与党と協力すべきは協力し、政策実現に努めてほしい。大事なことは政党のメンツではなく、国民生活である。
社民党の連立離脱は、重要な問題も提起している。それは、連立する際、どこまで政策を一致させておくのかという問題である。
社民党は二〇〇六年に採択された党宣言で、自衛隊を「明らかに違憲状態」と指摘しており、鳩山内閣は安全保障政策の齟齬(そご)を内包していたと言える。
そのことが基地問題での閣僚罷免、連立離脱という混乱につながったことは否定できない。
七月十一日に投開票が予定される参院選では民主党の苦戦が予想されており、参院で与党が過半数を割れば、連立組み替えの事態も予想される。
その際、少なくとも安全保障や社会保障、税財政などの基本政策は一致させておくべきであり、できれば連立の可能性や枠組みも事前に示すのが望ましい。
選挙戦などで「○○党とは組まない」と発言しながら、選挙後に連立するようなことがあれば、国民を欺くことになるからだ。
連立はあくまでも政策実現が目的である。国会運営のための安易な数合わせであってはならない。
この記事を印刷する