HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51491 Content-Type: text/html ETag: "a3c70-15ae-35439480" Expires: Sat, 29 May 2010 23:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 29 May 2010 23:21:42 GMT Connection: close 貨物検査法成立 海保と海自の連携を密にせよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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貨物検査法成立 海保と海自の連携を密にせよ(5月30日付・読売社説)

 北朝鮮に出入りする船舶に対する貨物検査を可能にする特別措置法が、ようやく成立した。

 貨物検査は、核実験を強行した北朝鮮への制裁措置として、昨年6月の国連安全保障理事会決議に盛り込まれた。ところが、日本は貨物検査を実施できる根拠法がなく、国際協調行動の一翼を担えない状態が続いていた。

 特措法の制定で、法の不備は解消されたが、貨物検査は海上保安庁だけに任せず、海上自衛隊も積極的に活用すべきだ。

 特措法は、船舶が武器などを積んでいないか検査する権限を海保と税関に与えた。船長が検査に同意しない時は、最寄りの港に向かうよう回航命令を出せる。

 特措法は、麻生前内閣が国会に提出したものの、衆院解散で廃案になった。鳩山内閣は、昨秋の臨時国会に法案を一部修正して再提出したが、他の法案処理を優先させ、成立を先送りしていた。

 本来、もっと早く成立させなければならない法律だった。

 さらに問題なのは、法案の修正内容だ。麻生前内閣の法案では、海保で対応が困難な場合に海自が出動することを定めていたが、その規定を削除した。自衛隊の活用に否定的な社民党に配慮したためだった。

 政府は、この規定がなくても、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令すれば、海自を出動させることができるとして、運用上の支障はないと説明している。

 だが、今回の特措法に海自の関与を明示しなかったことは、非常時に海自の出動をためらわせることにつながるのではないか。

 海保と海自の連絡を密にし、連携して行動が取れるよう、運用上の工夫を凝らしてほしい。

 海自を活用してもなお、貨物検査の実効性を高めるためには、課題が多い。

 北朝鮮籍の船舶や北朝鮮船長の場合は、貨物検査や回航命令に応じるとは考えにくい。商船を装って重武装しているケースも想定されるが、海上警備行動を発令して海自を出動させても、海自は警告射撃が認められていない。

 韓国哨戒艦沈没事件を機に、朝鮮半島情勢は緊迫している。

 鳩山首相は、韓国・済州島での日韓首脳会談で、特措法の成立に伴い、貨物検査に積極的に取り組む意向を表明した。

 今後、米韓海軍との情報共有や役割分担がきわめて大事になる。そうした連携も、海自の方がスムーズにいくだろう。

2010年5月30日01時34分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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