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NPT会議閉幕 「核のない世界」への出発点に(5月30日付・読売社説)

 ニューヨークの国連本部で開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、核軍縮の促進や核不拡散の強化のための行動計画を盛り込んだ最終文書を、全会一致で採択して閉幕した。

 5年前の前回会議は、核兵器保有国と非保有国の対立が原因で決裂した。今回、文書採択に成功したのは、このままでは核拡散の脅威は増大するだけ、という強い危機感を双方が共有した結果だ。

 これを新たな土台として、国際社会は、核の脅威を減らしていく努力を重ねていくべきである。

 NPTは、核兵器保有国の増加を防ぐことを目的とする国際条約だ。保有国を米露英仏中の5か国に限定し、その他の加盟国は核兵器を持たないと誓約している。

 そのNPT体制を大きく揺るがしたのは、北朝鮮である。NPTからの脱退を宣言した後、2度にわたり核実験を強行した。

 濃縮ウラン活動をやめようとしないイランもまた、「原子力の平和利用」を隠れみのにした核兵器開発の道を歩もうとしている。

 最終文書は、北朝鮮を「可能な限り強い表現で非難」し、6か国協議で自ら約束した核廃棄に取り組むよう求めた。平和を脅かす行為を看過しない、という断固とした国際社会の総意の表明を、北朝鮮は厳しく受け止めるべきだ。

 オバマ米大統領の登場で、遅々として進まなかった核軍縮に大きな転機が訪れている。この機を生かして核不拡散体制を立て直すことは国際社会の重要な課題だ。

 核保有国は、「核廃絶への明確な約束」を再確認したうえで、核軍縮を進め、2014年の再検討会議準備委員会で、進展状況を報告することになった。

 米露両国は新たな核軍縮条約の批准、履行を急ぎ、中英仏とともに一層の軍縮に努めるべきだ。

 非核国は今回、国際原子力機関(IAEA)が未申告施設を抜き打ち的に査察できる追加議定書を締結するよう「奨励」された。

 原子力の平和利用を進める中で一層の透明性を確保しながら、核兵器開発をしていないことを立証していく必要がある。

 最終文書は、焦点の中東の非核化構想について、その実現に向けた国際会議を2年後に開催すると明記した。NPT未加盟のイスラエルの核を不問に付すべきではないとするアラブ諸国の要望が反映された結果だ。

 文書の採択には、イランも加わった。自らの核疑惑を払拭(ふっしょく)していくことが責務だろう。

2010年5月30日01時34分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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