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5月30日付 編集手帳

 「巨悪は眠らせない」。特捜検察の意気込みを語った伊藤栄樹・元検事総長の言葉はあまりに有名だ。著書『だまされる検事』によると、「巨悪」とは汚職政治家や高級公務員、大型脱税犯や会社犯罪のトップたちである◆一方、回想録『秋霜烈日』には、「知能犯では、検事と被疑者がのちに街角で再会したとき、笑って手を握れるような調べによって得た自白だけが、信頼できる自白である」とある。信頼関係なしに、真実の供述は生まれない◆郵便制度悪用事件の裁判で、大阪地裁は厚生労働省元局長の関与を立証しようと検察側が申請した重要証人の供述調書をことごとく却下、証拠採用しなかった。「検事が誘導した可能性が高い」と、早くも無罪判決が見えてきてしまった◆「巨悪」の意味を取り違えたわけではあるまいが、検察が、はなから事件の筋書きに沿う都合の良い調書を取り、虚構の有罪立証に走っていたのではないか◆伊藤氏は「検事は何はさておき“庶民の味方”でなければならない」とも言った。政治とカネの事件しかり、庶民の検察への信頼感情は、ここのところ少し怪しくなっている。

2010年5月30日01時34分  読売新聞)
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