HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 29 May 2010 20:14:03 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:お気に入りの警句があると、時に役立つ。例えば飲酒後の深夜、…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2010年5月29日

 お気に入りの警句があると、時に役立つ。例えば飲酒後の深夜、ラーメンを食べるかどうか迷ったら…。筆者の場合は作家ワイルドの言葉に従うことが多い。つまり<誘惑を逃れる唯一の道は誘惑に屈することだ>▼鳩山さんは、この<誘惑>を<米国の圧力>に置き換えた警句にでも従ったのかしら。米軍普天間飛行場移設問題で、見直すはずだった前政権時代の日米合意とほとんど変わらぬ新たな合意を昨日、米国と結んだ▼思えば、簡単に「約束」する人だ。総選挙では「国外か県外」移設だと言い切り、一方でオバマさんには「トラスト・ミー(私を信頼して)」。「五月末までの決着」も繰り返し誓った▼聞き慣れぬ日本政府の「ノー」に最初は面食らったが最後は思い通り。結局、守られたのは、わが方との約束だけだ−。米国はそう考えているかもしれないが、果たしてそうか▼沖縄など関係地域は怒り心頭。社民党も承知せず、連立内閣は深手を負った。今度の合意がすんなり実現するはずがない。米国との新たな約束もほかの鳩山さんの約束と同じ運命、即(すなわ)ち、不履行になるだけだろう▼ただ、それで移設が滞っても米国は平気、痛みは沖縄が負うのだから罪深い。そもそも鳩山さんが従うべきだったのは、このナポレオンの警句かもしれない。<約束を守る最上の手段は決して約束をしないことである>

 

この記事を印刷する