HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51380 Content-Type: text/html ETag: "a3a3d-15cf-d688a980" Expires: Thu, 27 May 2010 20:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 27 May 2010 20:21:42 GMT Connection: close 子ども手当 全面的な見直しが必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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子ども手当 全面的な見直しが必要だ(5月28日付・読売社説)

 満額支給の公約は凍結し、制度を全面的に見直す必要があるだろう。

 6月から中学生以下を対象に「子ども手当」の半額支給(月1万3000円)が始まる。だが、期待より不安の方が大きい。

 まず心配されるのは、支給窓口となる自治体の混乱だ。数多くの職員を投入して問い合わせなどに対応しているが、事務負担が大きく悲鳴が上がっている。

 読売新聞が全国1750市区町村に聞いたところ、86か所で手続きが追いつかず、法律が定める6月支給に間に合わない可能性があるとしている。参院選前に手当が渡るように、政府が支給を急いだ影響と言えよう。

 在日外国人など、子どもが国外で暮らしている場合にまで手当が支給されるため、問題が生じることも避けられない。

 懸念された通り、兵庫県尼崎市で、タイに養子が大勢いるとして554人分の手当を申請するケースがあった。

 厚生労働省は、親子が年に2回以上面会している、など支給要件を通知し、尼崎市での申請は受理されなかった。同省のホームページにも、「外国で50人の養子縁組を行っていても支給されない」との見解が示されてはいる。

 だが、子どもが10人前後のケースで、市区町村が迷う事例が出てくるのではないか。自治体の負担はさらに増すが、養育の実態を厳正に確認した上で支給の可否を判断しなければ、国民の納得は得られまい。

 何より不安なのは、半額実施で年2・7兆円、満額なら年5・4兆円という巨額の支出を要する制度が、財源の見通しを欠いたままスタートすることだ。

 国債発行が税収を上回る緊急事態の財政下で、来年度以降、満額支給を始めたらどうなるのか。無駄の削減と予算の組み替えで捻出(ねんしゅつ)できる金額ではない。

 ここは満額支給の看板をいったん取り下げるべきだろう。

 民主党は参院選の公約で、来年度からの上乗せ分を保育サービスの充実策などに置き換えることも検討しているというが、半額支給にとどめればいい、というわけにもいかない。

 子育て施策全体の議論をしっかりと詰めた上で、手当の額を再検討すべきだ。

 子ども手当を恒久的に支給するなら、消費税率を引き上げるなどして財源を確保しなければならない。所得制限を可能にする社会保障番号の導入も不可欠だろう。

2010年5月28日01時25分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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