HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 27 May 2010 20:13:57 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:南北関係断絶 連携し軍事衝突を防げ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

南北関係断絶 連携し軍事衝突を防げ

2010年5月27日

 韓国哨戒艦の沈没をめぐって争う韓国と北朝鮮はそれぞれ、対話と交流をほぼ全面的に中断、断絶すると宣言した。朝鮮半島で軍事衝突が起きるのは、誰も望まない。周辺国の連携を急ぎたい。

 南北関係を担当する北朝鮮の祖国平和統一委員会は、韓国の李明博政権の任期中は「すべての関係を断絶する」と発表した。

 南北間のすべての通信を止め、人道支援や離散家族再会の窓口である板門店の赤十字代表部の業務も中止するという。「哨戒艦の沈没は北朝鮮の魚雷攻撃によるものだ」と断定した韓国側への強い反発だ。

 李明博大統領は先に国民向け演説で、北朝鮮を「世界で最も好戦的な集団だ」と非難し、南北の交流、交易を原則中断すると明言した。「北より豊かで、自由な社会だ」とする軍事休戦ライン一帯での宣伝放送を復活する。

 クリントン米国務長官が訪韓して韓国政府に全面支持を表明。米韓は北朝鮮潜水艦を想定した合同軍事演習を六月にも行うという。

 韓国は約十年間、金大中、盧武鉉両政権が北朝鮮との融和政策を続けたが、「協力の時代」は終わろうとしている。

 北朝鮮は経済破綻(はたん)に加え金正日総書記の健康不安もあり、国内引き締めのため、あえて緊張を高めているようだ。人民軍に「戦闘態勢」を命じたとの情報もある。

 だが、韓国政府には冷静な対応を望む。株価と通貨ウォンが下落し始めているが、緊張がさらに高まれば好調の経済全体が深刻な影響を受けよう。韓国は周辺国との協議、国連安保理への提起など、外交によって軍事衝突を回避するのが賢明ではないか。

 北朝鮮は既に昨年、核実験によって国連の制裁を受けている。各国は制裁を着実に実行して、さらなる挑発は孤立を深めるだけだと警告したい。

 日本は米韓との連携を深め、北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査を強化する特別措置法の成立を急ぐ必要があろう。

 中国の役割は大きい。沈没が北朝鮮の攻撃との見方には同調せず、外務省次官は「慎重に各方面の情報を分析している」とだけ述べたが、事件は重大であり、北朝鮮への経済支援を控えるべきではないか。二十九日には日中韓首脳会談が開かれる。温家宝首相には踏み込んだ発言を期待する。

 朝鮮半島には偶発的な衝突の火だねが無数にある。周辺国は利害を超えて危機に共同対処したい。

 

この記事を印刷する