HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51606 Content-Type: text/html ETag: "bde51-167d-47dce600" Expires: Thu, 27 May 2010 01:21:17 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 27 May 2010 01:21:17 GMT Connection: close 産業ビジョン 日本の競争力をどう強化する : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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産業ビジョン 日本の競争力をどう強化する(5月27日付・読売社説)

 日本経済の行き詰まりを打破し、競争力を強化するにはどうすべきか。経済産業省が産業政策の見直しを打ち出した。

 経済再生の指針とする「産業構造ビジョン」のことである。政府が6月中に策定する新成長戦略の柱にしたい考えだ。

 日本は中国や韓国などに猛追され、競争力は相対的に低下している。人口減少で、内需だけでは先細りだ。一方で、企業の海外移転が加速し、国内産業の空洞化も懸念される――。そうした危機感がビジョンの背景にある。

 読売新聞社は5月初め、経済再生に向けて大胆な政策展開を求める緊急提言を行った。ビジョンは本紙提言と重なる内容が多い。目指す方向は同じだろう。

 今回、注目されるのは、鳩山政権として初めて、法人税の実効税率を来年度に5%程度引き下げ、将来的に25〜30%を目指すと明記したことだ。

 欧州の30%前後、アジアの25%以下に比べると、日本の実効税率は40・69%と突出して高い。

 重い税負担が企業活力を奪い、設備投資などを抑制させて競争力を低下させている。日本への進出を躊躇(ちゅうちょ)する外国企業が多く、対日投資が伸びない原因でもある。

 本紙は法人税の20%台への引き下げを提言した。政府内で議論を加速し、税率の大幅引き下げを早期に実現すべきだ。

 アジアなど向けに、原子力発電所や新幹線などの社会基盤を売り込む、官民を挙げた体制強化の必要性もビジョンは指摘した。

 海外では巨額のインフラ需要が期待できる。内需と外需の二兎(にと)を追う戦略が肝要だ。

 だが、欧米や韓国などとの競争も激しい。出遅れを挽回(ばんかい)するため、資金提供からアフターサービスまで、首相や閣僚を先頭に、オールジャパンで市場を勝ち取らねばなるまい。

 ビジョンは、次世代自動車など五つの重点戦略分野の強化、経済連携協定(EPA)の拡大なども盛り込んだ。

 日本の競争力を強化するには、いずれも急いで取り組むべきテーマだ。技術で勝って、ビジネスで負ける事態は望ましくない。

 ただ、ビジョンを提示しても、実現できなければ絵に描いた餅に終わる。国土交通省など他省の成長戦略とも競合するが、政府全体として調整し、政策の優先順位を明確にしなければならない。

 日本の成長に弾みをつけるには、政治の指導力と、政策を実行するスピードが問われよう。

2010年5月27日02時04分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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