HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 26 May 2010 21:15:27 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:米中関係 亀裂の一方 依存深まる:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

米中関係 亀裂の一方 依存深まる

2010年5月26日

 米国と中国の「戦略・経済対話」で、韓国哨戒艦沈没をめぐる対応は異なるが、安全保障や金融で相互に依存を深める実情が浮かび上がった。日本は米中の重層的な関係を見誤ってはならない。

 オバマ政権は昨年夏、個別に開いていた戦略対話と経済対話を統合して閣僚級に格上げしワシントンで初会合を開いた。

 二十四、二十五の両日、北京で開いた二回目の対話にはクリントン国務長官が率いる二百人の大代表団が乗り込んだ。

 今年中にも日本を抜き世界二位の経済大国に浮上する中国と、前向きな関係を築こうという意気込みがうかがえる。

 北朝鮮による撃沈と断定した哨戒艦沈没について米国は国連安全保障理事会に持ち出すことを提案した。しかし、中国は原因を明言せず「各国が冷静、適切に問題を処理すべきだ」(戴秉国国務委員)と述べるにとどまった。

 昨年初めのオバマ政権誕生以来一年間、米国は対中批判を避けて協調を求め「G2(二大国)時代」といわれた。しかし、今年に入り米国の台湾への武器売却などで両国関係は緊張し、先月の首脳会談で何とか緩和にこぎつけた。

 安全保障をめぐる不信は解消せず、今回も北朝鮮批判の足並みはそろわなかった。ただ、北朝鮮の核開発に対する相次ぐ制裁で米国は有効な手だてを失っている。

 米韓合同演習などで軍事的圧力をかけるにしても、アフガン戦争を抱える米国に新たな戦端を開く余裕はない。北朝鮮を支える中国に、暴発を防ぎ外交的解決に応じさせる役割を期待している。

 米中の相互依存は人民元問題でもうかがえた。米国は元の対ドルレートが低く固定され、中国が膨大な貿易黒字をため込むアンバランスを正すため人民元の変動幅拡大を求めてきた。

 しかし、ギリシャ危機で人民元がユーロに対し切り上がり中国の輸出に影響を与えていることに配慮し、今回はあからさまな圧力を避けた。世界経済回復をけん引している中国経済が腰折れすれば米国も影響を免れない。

 表向きの応酬とは別に、米中関係は、クリントン国務長官が引用した中国成句「風雨同舟」(困難をともに切り抜ける)の様相が濃くなっている。日本も複雑な関係を読んで米中と同じ船に乗り込む知恵をめぐらせた方がよい。

 さいわい今週末には韓国・済州島で日中韓首脳会談が開かれ、中国の温家宝首相も来日する。

 

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