HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 26 May 2010 02:15:35 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:消費者事故情報 使えるデータ バンクに:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

消費者事故情報 使えるデータ バンクに

2010年5月26日

 欠陥製品などによる事故をネット上で検索できる消費者庁のデータバンクが動きだした。役に立つ内容だが、警察からの情報が限定されるなど物足りない点も。使えるデータバンクに育ててほしい。

 事故情報データバンクは四月一日に消費者庁のホームページに開設された。身の回りの製品、食品、サービスなどによる事故やヒヤリとした事例として、消費者庁のほか厚生労働、農林水産、経済産業など各省、国民生活センターから集めた約一万六千件を登録している。

 同庁ホームページからアクセスでき、製品の種類やメーカー名などでの検索が可能。購入希望の製品について、事前に事故例の有無をチェックできる。このほか子どもや高齢者の事故リストも「注目情報」として掲載されている。

 一方で、重大な事故が多い警察・消防情報で検索できるのは、消費者庁に報告があった事故から選ばれたものに限られる。警察や消防が「製品事故ではない」として報告しない場合もあるようだ。

 例えば、四月に相次いだ使い捨てライターによる子どもの火遊びからの火災。簡単に着火できる構造にも問題があるとされ、販売禁止措置が導入されることになった。ライター火災は「注目情報」リストに掲載されているがデータバンクでは検索できない。

 捜査との兼ね合いで取り扱いが難しいことは理解できるが、これではパロマ事件に代表される深刻な被害が把握されない恐れが出てくる。公表の在り方を検討すべきではないか。

 また、消費者庁は当初、消費者からの情報提供を受け付け、公表することも検討していたが、結局、見送った。情報の真偽の確認が難しいことが理由だという。消費者被害のデータバンクは、被害者からの通報こそ大事にすべきだ。そうしてこそ消費者の利用も増え、利便にかなうだろう。国民生活センターや地元の消費生活センターに裏付け調査してもらうなどして、公表を考えるべきだ。

 ほかにも、医療・美容事故については公表を一部に限定。国交省が収集・公表している自動車のリコール(無料の回収・修理)や不具合の情報も盛り込まれなかった。消費者事故に該当しないなどの理由だ。しかし、消費者にとっては必要な情報。消費者行政の一元化の設立趣旨からしても、納得がいかない。消費者のニーズをくみ上げ、今後データバンクの対象を広げてほしい。

 

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