HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 24 May 2010 20:15:31 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:普天間問題 結局『元の木阿弥』か:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

普天間問題 結局『元の木阿弥』か

2010年5月24日

 鳩山首相が沖縄県を再訪し、米軍普天間飛行場の返還をめぐり、代替施設を名護市辺野古に造るという結論を伝えた。最低でも県外移設と公約しながら、結局「元の木阿弥(もくあみ)」とは何とも情けない。

 鳩山由紀夫首相はどんな思いで沖縄の地を再び踏みしめたのか。公約を守れなかった無力感か、国民をだまし続けた罪悪感か。

 首相は仲井真弘多沖縄県知事との会談で「代替地は沖縄県内に、具体的には辺野古付近にお願いをせざるを得ない」と語った。

 米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する「現行案の受け入れなどという話はあってはならない」と言いながら、現行案と同じ結論に至るとは、首相就任後の八カ月間は何のためだったのだろう。

 首相は「普天間を返還するために断腸の思いで下した結論だ」と語ったが、公約に掲げた国外・県外移設の必要性や、従来感じていたという米海兵隊の抑止力への疑問を、オバマ米大統領やクリントン米国務長官に真正面から提起したことが一度でもあったのか。

 首相として当然のことをせず、公約破りの言い訳に抑止力論を唐突に持ち出しても、日本国民、特に在日米軍基地の75%が集中する沖縄県民は納得しまい。

 沖縄の負担軽減に向け、国外・県外移設への期待が高まった分、裏切られたことで落胆は大きい。

 条件付きで県内移設を容認していた仲井真知事が「県内に失望感がある。辺野古沿岸への移設は、大変遺憾で極めて厳しいというのが現状だ」と語るのも当然だ。

 日米両政府は二十八日にも、移設先を辺野古周辺とし、工法などを今秋までに決めることなどを盛り込んだ外務・防衛担当閣僚の共同声明を発表する方針だという。

 ただ、日米両政府間のこれまでの合意内容と変わらず、「五月末までの決着」を公言した首相の体面を保つための共同声明なら、米国に対する日本の外交的立場を弱めると言わざるを得ない。

 首相は、米軍訓練の一部を県外に移すことで辺野古移設への沖縄県民の理解を得たいのだろうが、訓練移転の目途が立っていない現状では絵空事にすぎない。

 名護市では今年、辺野古移設に反対する市長が誕生し、県議会も国外・県外移設を求める意見書を全会一致で可決している。

 首相は県内移設が政権交代前にも増して困難になったと心得るべきだ。その政治的責任が首相自身にあることは言うまでもない。

 

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