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タイ騒乱 最終決着にはなお火種が残る(5月20日付・読売社説)

 バンコク市内を占拠していた数千人規模のタクシン元首相支持派が、治安部隊の強制排除作戦の開始を受け、抗議行動の終了を宣言した。

 だが、一部の反政府指導者は逃走し、市内では放火などが続いている。2か月余り続いたタイの騒乱が、最終的に決着するかどうかは予断を許さない。

 占拠グループの指導者は、「これ以上、犠牲者を出したくない」と説明した。参加者には女性や子供が多かった。遅きに失したとは言え、妥当な判断と言える。

 タクシン支持の反政府派は、アピシット首相の退陣と総選挙の即時実施を求め続けてきた。

 首相は今月初め、膠着(こうちゃく)状態を打開するため、総選挙を11月に繰り上げ実施し、9月下旬に議会を解散するなどの譲歩案を示した。しかし、反政府側は要求を一層強め、合意には至らなかった。

 この間、事態を重く見た潘基文・国連事務総長が仲介役を申し出たり、上院議長ら与党関係者が仲介に乗り出したりしたが、政権側は応じなかった。

 病弱のプミポン国王は、最後まで姿を見せなかった。

 混乱が長引いている背景には、首相の指導力不足があることは否めない。政権側も野党時代に空港を不法占拠した経緯があり、対応は後手後手に回った。軍も当初は武力行使に消極的だった。

 反政府側は、ビジネス街を不法占拠し続け、武器を持ち込むなどしたため、一時は内戦の様相を呈した。度を越す強硬戦術は、法治国家では許されまい。

 亡命先からインターネットTVなどを通じ、支持者を(あお)り続けたタクシン元首相の責任も重い。反政府側は今後、戦術を転換する必要があろう。

 現場は、企業のオフィスや各国大使館などが集中している。都市機能のマヒにより、日本をはじめ外国企業も、避難や営業停止を余儀なくされた。

 1か月以上も休業を強いられた商業施設や観光業を中心に、巨額の損失が出ている。

 世界金融危機から回復し始めたタイ経済は、再び打撃を受ける可能性もある。これ以上の混乱は、タイの国際的評価をさらに低下させることになろう。

 アピシット首相が、政権の求心力を回復するには、議会の早期解散、総選挙の繰り上げ実施は避けられない、との見方が強まっている。首相は、反政府側との話し合いを通じ、一刻も早い解決を目指さなければならない。

2010年5月20日01時46分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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