同じ、何かを見つけるにしても「必ずあると分かっている」のと「あるのかないのか分からない」のとでは条件が大違いだ▼人には、願っているように信じるところもあるから、探す人が「あってほしい」と思っているか「あってほしくない」と思っているかも、結果にかかわる。どちらも、当然、後者の方が見つかりにくい▼宮崎県で発生した口蹄(こうてい)疫。感染拡大が止まらないが、報道によれば、同県家畜保健衛生所が既に三月末の時点で、その後感染の疑いが確認された水牛を調べながら遺伝子検査などをせず、感染を見逃していたのだという▼中国製冷凍ギョーザによる中毒事件でも当時、千葉県警が袋の穴を見逃していたことが明らかに。穴がないことは、「製造過程の農薬混入」も示唆したが、その後、中国で拘束された容疑者の「注射器で混入した」との供述と矛盾するため、電子顕微鏡で再鑑定され、見つかった▼どちらも「必ずあると分かっている」なら端(はな)からもっと丹念に調べたはずだ。あるいは、担当者に「口蹄疫であってほしくない」「国内の混入であってほしくない」との思いがあり、それが影響したのかもしれない▼何かを探す時には誰しも留意すべきことだろう。だが、こうも言える。「あるのかないのか分からない」「あってほしくない」ものでも見つけ出す。それこそが、プロの仕事だ、と。