HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 49058 Content-Type: text/html ETag: "f5b6b-11e0-f3af7080" Expires: Tue, 18 May 2010 23:21:46 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 18 May 2010 23:21:46 GMT Connection: close 5月19日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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5月19日付 編集手帳

 life〈人生〉、その中に大きなif〈もし〉あり――とは、文芸評論家、巌谷大四さんの随筆集『おにやらい』(三月書房)の一節である。英語の「ライフ」には「人生」のほかに、「命」や「生活」という意味もある◆人生にも、命にも、生活にも、危険はついて回る。危険の芽生えを見つけたときに「まあ、大丈夫だろうさ」とタカをくくらず、〈if=もしも…〉と最悪の事態をも想定して対処することが危機管理の要諦(ようてい)であろう◆被害が爆発的に拡大した宮崎県内の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」で、国の対応は果たして万全であったか◆最初の疑い例が確認されたとき、農林水産省は事態を楽観していたと聞く。赤松農相が「自分が行くと騒ぎが大きくなる。感染はほぼ1か所に抑え込めている」と現地入りを見送り、外遊に出発したこともそれを裏付けている。「私のやってきたことに反省するところはない」。きのうの記者会見でそう語った◆殺処分される家畜11万頭余の命があり、畜産農家の生活と人生がある。幾つもの〈life〉をずたずたにされた人々の耳に、大臣の声はどのように届いただろう。

2010年5月19日01時36分  読売新聞)
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