HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50574 Content-Type: text/html ETag: "a3263-15fc-8ee02000" Expires: Sun, 16 May 2010 22:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 16 May 2010 22:21:42 GMT Connection: close 「買電」制度拡大 家庭や企業の理解が前提だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

「買電」制度拡大 家庭や企業の理解が前提だ(5月17日付・読売社説)

 経済産業省が、太陽光など、再生可能なエネルギーで発電した電気を電力会社に買い取らせる制度の拡充について試案をまとめた。

 買い取りなどにかかる費用は、電気料金に上乗せして賄うのが原則だが、買い取り価格をどう設定するかで当然、上乗せ額は違ってくる。家庭や企業の電気代が増えることだけは確実だ。

 今後の制度設計に当たっては、電気を使う側の理解を得ながら進めることが肝要である。

 二酸化炭素(CO2)を出さない再生可能エネルギーは、地球温暖化対策や脱化石燃料を進めるうえで、貴重な存在といえる。

 温暖化対策基本法案は、国の1次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を、現在の3%から2020年までに10%とすることを目指している。

 こうした目標の達成に向け、政府はすでに、太陽光発電について買い取り制度を実施中だ。

 屋根などに取り付けたパネルで発電した電気を、1キロ・ワットあたり48円と、使用する電気料金の約2倍の値段で買い取らせている。

 パネルの設置費用への補助金もあり、この刺激策でやる気になった家庭は多いのではないか。

 ただし、買い取りの対象となるのは余った電気に限られており、ドイツなどのように、発電したすべての電気を買い取ってほしい、との期待が強まってきた。

 太陽光ばかりでなく風力、地熱などによる発電も対象に加えるべきだとの要望もあり、経産省が制度の見直しを検討してきた。

 試案は、買い取り料金を太陽光発電で1キロ・ワットあたり42円、太陽光以外を20円などとし、買い取りの対象も広げるなど、さまざまなケースを組み合わせている。

 料金を高くするほど発電への参加者が増え、削減されるCO2の量も伸びるが、問題はそれに連れて電気代の負担が増すことだ。

 一般家庭で最大月500円以上、最小でも月150円以上、電気代が高くなる計算だ。現行制度なら負担は最大月約100円だが、制度拡充による負担増を利用者はどう受け止めるだろうか。

 発電に無縁の家庭からは、「メリットを受けられない我々が、なぜ負担増を強いられるのか」といった不満の声が出ている。

 企業によっては、億円単位で電気代が増え、経営の重荷になるとの指摘もある。政府は「温暖化対策のため多少の負担をお願いしたい」とするが、こうした利用者の声に耳を貸さねばなるまい。

2010年5月17日01時25分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です