HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50704 Content-Type: text/html ETag: "add67-1628-96072e00" Expires: Sun, 16 May 2010 21:21:40 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 16 May 2010 21:21:40 GMT Connection: close 企業決算 本格回復への道は半ばだ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

企業決算 本格回復への道は半ばだ(5月17日付・読売社説)

 企業業績はV字回復でどん底を脱した。だが、先行きは不透明で、本格的な回復への道はまだ半ばだろう。

 東証1部上場企業の2010年3月期決算の発表がピークを迎えた。上場企業全体の税引き後利益は、2期ぶりに黒字に転換する見通しだ。

 一昨年秋のリーマン・ショックと世界不況に直撃された昨年3月期決算は、主要企業が巨額赤字に転落し、戦後最悪だった。

 2期連続の赤字を覚悟した企業も多かったが、実際には、黒字に転換したり、赤字を大幅圧縮させたりした企業が相次いだ。

 全体の約3割が、リーマン・ショック前の税引き後利益の水準を回復した。予想以上に早く、各企業が業績悪化に歯止めをかけ、試練を乗り切ったと言えよう。

 最大の原動力は、リストラやコスト削減の徹底だ。売り上げが減っても利益が出せるよう、体質を絞った結果、上場企業全体の売上高は前期比で減少しながら、利益が増える減収増益を実現した。

 業種別では、世界不況からいち早く脱した中国などの新興国市場向けに、輸出を増大させた自動車と電機が牽引(けんいん)役になった。

 自動車やデジタル家電の販売を支援する各国政府の景気刺激策も追い風に生かしたのだろう。

 利益を倍増させたホンダが代表例だ。トヨタ自動車も2期ぶりに黒字を確保し、復活した。前期は巨額赤字の日立製作所も、黒字化が視野に入ってきた。

 一方、小売り、不動産、商社などの非製造業は苦戦し、業績の回復にはばらつきがある。

 資生堂は、アジア市場に活路を求める戦略強化を打ち出した。内需型の企業も、外需をいかに取り込むかが重要だ。

 だが、企業の経営環境はまだまだ厳しい。今期の業績に慎重な企業が多いのも当然だろう。

 世界景気は持ち直してきたが、ギリシャ危機をきっかけに不安が再燃した。欧州経済の低迷が長期化すると、世界全体に波及しかねない。日本にとっても、急激な円高・ユーロ安は、輸出企業の採算を悪化させる。

 各国政府がとった景気刺激策の効果も剥落(はくらく)しつつあり、鉄鉱石などの値上がりも懸念材料だ。

 各社は、業務の「選択と集中」を一層加速し、財務基盤を強化しなければならない。

 リストラ主導では限界がある。新たな成長市場を開拓し、競争力ある製品を生み出すなど、「攻め」の姿勢が肝要である。

2010年5月17日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です