来月に迫ったサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が待ち遠しい。これまでのW杯では、日本代表の戦いに一番期待が持てる気がするからだ▼少し奇矯に思われるかもしれない。世間ではむしろ厳しい見方が支配的。無理もない。一次リーグ同組のカメルーン、オランダ、デンマークはそろって強豪。世界ランクも日本よりかなり上だ▼大体、海外開催の過去二大会で日本は一勝もできていない。岡田監督の掲げる「ベスト4」の目標はだから“夢物語”と受け止められており、オシム前代表監督に言わせれば「一勝でもできればサプライズ」。それかあらぬか国内応援にも以前のような熱狂はない▼が、この悲観的空気こそがみそ。フィギュアスケートの伊藤みどりさん、柔道の吉田秀彦さん、野球の宮本慎也さんという、かつての五輪代表が共通して述懐していることがある。それは、「勝って当たり前」という空気がいかに大きなプレッシャーか、ということ▼一次リーグで日本と当たる三チームはそれを嫌というほど味わうだろう。対して今度の日本代表は過去の代表に比してもその“魔力”から自由だ。「0対0の状態は相手にしたら負けていることになる」とは、テレビで聞いたサッカー評論家セルジオ越後さんの表現▼妙な言い方だが、岡田ジャパンは、期待されていないがゆえに期待できるのだ。