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中国人ビザ緩和 中間層誘致へ細かな対応を(5月14日付・読売社説)

 政府が、中国人向けの個人観光ビザの発給要件を大幅に緩和する。

 海外からの観光客を国内に呼び込むことは、消費の拡大や雇用の創出など、さまざまな経済効果が期待できる。

 中でも、急増する中国人観光客は、最大のターゲットだ。

 今年は、政府が外国人訪問者を1000万人に増やすと設定した目標年である。昨年、日本を訪れた外国人は約679万人で、このままでは達成は困難だ。

 ビザの要件緩和を中国人観光客の着実な誘致につなげるよう、さらに知恵を絞ってほしい。

 添乗員を必要としない個人旅行が可能な個人観光ビザは現在、年収25万元(約350万円)以上の富裕層に限って発給している。

 7月からは、グレードの高いクレジットカードの保有者などにも発給を認める。官公庁や企業の中堅幹部クラス、年収10万元(約140万円)以上の所得層を想定しているという。

 中国は、空前の海外旅行ブームといわれる。経済成長で中間所得者層が拡大し、経済的なゆとりを持つ人たちが増えているためだ。海外旅行者は年間4500万人を超える。

 日本を訪れる中国人は、年々増加しているが、それでも100万人台だ。要件の緩和で発給対象は約10倍、4000万人以上に広がる見通しで、それだけすそ野が広がることになる。

 駅や空港など公共施設では、英語のほかに中国語を併記する案内標識が目立ってきたが、全国的にはまだまだ不足している。

 中国語での接遇が可能なホテルや旅館も増やす必要がある。中国語のガイドや通訳の養成には、特に力を入れるべきだ。

 映画やドラマ、アニメなども観光宣伝に大いに活用したい。

 中国で大ヒットした映画のロケ地となった北海道は、中国人観光客の人気スポットとなっている。こうした「観光資源」を生かさない手はない。

 気がかりなのは、不法就労や窃盗など、犯罪目的の入国に悪用されないか、という点である。政府が、添乗員のつく団体観光ビザを2000年に認めてから、時間をかけて発給対象を広げてきたのも、この懸念があるためだ。

 観光ビザで入国して日本滞在中に所在をくらます中国人は、毎年100人以上いる。失踪(しっそう)者を出した仲介旅行会社は認可を取り消すなど、政府は失踪対策に万全を期してもらいたい。

2010年5月14日01時55分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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