HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 50175 Content-Type: text/html ETag: "f5f16-12be-8eff3800" Expires: Thu, 13 May 2010 21:21:45 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 13 May 2010 21:21:45 GMT Connection: close 5月14日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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5月14日付 編集手帳

 日露戦争の日本海海戦を勝利に導いた参謀、秋山真之は『天剣漫録(てんけんまんろく)』に書いている。〈細心焦慮は計画の要能(ようのう)にして、虚心平気は実施の原力(なり)〉。計画は細心に、実施は一転してアッケラカンと平気の平左(へいざ)で行け、と◆軍事に限らず、国政の運営から企業経営まで、万般に通じる心得だろう。鳩山首相の場合は逆で、夢のような計画を平気の平左で約束し、実行の段になって今は焦慮に身を焼かれている◆「普天間」を国外か県外に移設して沖縄の負担を軽減し、米国も納得し、日本の安全保障は揺るぎない――夢想するだけなら、誰もが夢想する。為政者は、しかし、実現の道筋も考えぬまま、夢想に踊ってはいけない◆衆院選の遊説で約束した「最低でも県外」を“個人の発言”として反古(ほご)にしたのに続き、「5月末までの決着」も果たせないことを、ついに首相が認めた◆願望を口にすれば、まわりの誰かが(かな)えてくれる…羽毛のように軽い言葉は恵まれた生い立ちにも起因しているか。無責任な夢想をアッケラカンと約束する無邪気さは、月々1500万円のお小遣いをもらえる境涯と無関係ではあるまい。

2010年5月14日01時50分  読売新聞)
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