HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51042 Content-Type: text/html ETag: "ad677-15cd-f110b4c0" Expires: Wed, 12 May 2010 21:21:42 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 12 May 2010 21:21:42 GMT Connection: close 英連立政権 小選挙区制の改革が焦点だ  : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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英連立政権 小選挙区制の改革が焦点だ (5月13日付・読売社説)

 英国で戦後初の連立政権が誕生した。13年ぶりに第1党となった中道右派の保守党と、中道左派の第3党・自由民主党との連立である。

 英国では、チャーチル首相が率いた挙国一致内閣など第2次大戦時や大戦間の一時期を除き、2大政党のいずれかが単独で政権を担ってきた。

 今回の連立政権が、両党の政策の隔たりを乗り越え、国政を円滑に運営できるか、注目される。

 首相には保守党のキャメロン党首、副首相に自民党のクレッグ党首が就いた。外務、財務など主要閣僚は保守党が占めたが、自民党にも副首相を含めて5閣僚ポストが割り当てられた。

 6日の総選挙では、保守党が与党・労働党に勝利したものの、過半数に届かなかった。

 過半数を占める政党がない「ハングパーラメント(中ぶらりん議会)」は36年ぶりで、保守、労働の2大政党が自民党との連立協議に入っていた。

 自民党は、かつての2大政党の一翼だった自由党と、労働党穏健派が設立した社会民主党が合同して誕生した。弱者救済に力を入れるなど政策的に労働党に近い。

 だが、選挙の敗者である労働党との連立では、政権の正統性に疑問符がつくうえ、議席の過半数にも届かず、政権が安定しない。自民党が保守党を選んだのは、妥当な選択といえる。

 ただ、保守、自民党間には、欧州連合(EU)、安全保障、移民政策などで大きな隔たりがある。当座の妥協には達したが、対立の火種は残っている。

 連立政権を率いるキャメロン首相は財政の健全化と並んで、「政治制度への信頼回復」を緊急の課題に挙げた。

 今回の選挙では、23%の票を得た自民党の獲得議席が9%弱に過ぎなかった。単純小選挙区制のもとでは、民意と選挙結果の乖離(かいり)が大きすぎるというのが、かねての自民党の主張である。

 選挙戦でも自民党は、比例代表制への転換を主張したのに対し、保守党は現行制度を維持したいとの立場だった。

 だが、保守党は連立政権樹立のため、小選挙区制を基本としながらも、「死に票」を減らす仕組みの導入について、国民投票にかけると約束した。

 連立政権による選挙制度見直しは、英国を一つのモデルとして、政権交代可能な2大政党制を目指してきた日本にとっても、目を離せない動きといえよう。

2010年5月13日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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