HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51082 Content-Type: text/html ETag: "add4c-15fb-f110b4c0" Expires: Wed, 12 May 2010 22:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 12 May 2010 22:21:38 GMT Connection: close 普天間移設 展望なき窮余の政府最終案 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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普天間移設 展望なき窮余の政府最終案(5月13日付・読売社説)

 米軍普天間飛行場の移設問題に関する政府の最終案が、ようやく固まった。様々な矛盾と課題を抱えており、流動的な要素も多い。果たして実現できるのか、大いに疑問だ。

 最終案の柱は、沖縄県名護市辺野古の沿岸部を埋め立てる現行計画を修正し、(くい)打ち桟橋方式で代替施設を建設する計画だ。鹿児島県・徳之島には、航空部隊の一部または訓練を移転する。

 普天間飛行場や嘉手納基地での飛行訓練を各地に分散移転したり、沖縄の米軍射爆撃場の返還を求めたりすることも検討する。

 実質的には県内移設であり、移設先の名護市や徳之島3町のほか社民党は強く反対している。県内移設を容認していた沖縄県も、県外移設の立場に転じた。

 結局、考えられる限りの地元負担軽減策を並べて、関係者の反発を和らげようという、窮余のつじつま合わせの最終案となった。

 だが、嘉手納基地の訓練移転は一部で実施済みだが、飛行回数は減っていないとされる。米軍施設の返還も、米側がすぐに応じる見通しは立っていない。

 司令塔が不在のまま、様々な関係者に場当たり的に配慮するあまり、八方美人的なつぎはぎの案となり、すべての関係者の反対にあう。まさに拙劣な手法だ。

 米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を軽減する。その移設問題の原点を踏まえれば、迷走の過ちを認め、現行計画に戻る選択肢を排除すべきではあるまい。

 一方、首相が「国民への約束」と語る月内の問題決着について、閣僚からは「先送り」発言が相次いでいる。サッカーの試合中にゴールを移動させるような対応であり、理解は得られまい。

 最高責任者の鳩山首相は、期限までほぼ半月となった今も、毎日のように、沖縄や米国、連立与党の合意を月内に得る、と言い続けている。

 これでも実現できない場合、鳩山首相の言行不一致に対する批判は一段と高まろう。首相の政治責任は重大である。

 無論、普天間問題が日米関係のすべてではないとしても、この問題が先送りされた場合の各方面への影響は甚大だ。とりわけ深刻なのは、今の最終案で関係者が合意できる展望がないことだ。

 その際は、事故の危険や騒音問題を抱える普天間飛行場の現状が固定化するうえ、海兵隊8000人のグアム移転などの歴史的な負担軽減策が頓挫しかねない。その責任もまた、鳩山首相にある。

2010年5月13日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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