HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 12 May 2010 02:14:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:『新幹線』輸出 新成長戦略のモデルに:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

『新幹線』輸出 新成長戦略のモデルに

2010年5月12日

 政府と日本企業が、米国への高速鉄道輸出に向けて動きだした。自動車、電機がかつての競争力を失いつつある中、官民一体の取り組みで受注を勝ち取り、新しい経済成長のモデルとしてほしい。

 米国では昨年四月、オバマ政権が「グリーン・ニューディール政策」の一環として全米で十一路線、総延長約一万三千七百キロの高速鉄道網整備構想を打ち出した。東京−博多間の十二倍弱の距離だ。ドイツやフランス、中国、韓国などが激しい売り込み合戦を展開している。

 日本は、JR東海がワシントン地域の路線に超電導リニアモーターカー、フロリダ州に新幹線の輸出を目指す。JR東日本はカリフォルニア路線への新幹線売り込みを図る。来日中のラフード米運輸長官は十一日、山梨県にあるリニア実験線で、JR東海のリニアに試乗した。

 技術面で最大のライバルとみられるのはドイツのICE3(最高時速三百三十キロ)とフランスのTGV−POS(同三百二十キロ)。しかし、新幹線は一九六四年の開業以来、死亡事故ゼロの安全性や、正確な運行という安定性において決して劣ってはいない。超電導リニアは、実用化のレベルに達した技術は日本にしかなく、まさに世界に誇れるオンリーワンの最先端技術である。

 受注のチャンスは十分にある。ただ、米国にとっては国家的プロジェクトであるだけに、日本側も鉄道会社や車両メーカー、商社など関連企業の力だけではなく、政府の後押しも必要になる。黄金週間中、前原誠司国土交通相はJR東海、JR東日本、川崎重工業のトップらとともに訪米して「オールジャパン体制」で日本の技術をアピールした。

 鳩山政権は、六月にまとめる「新成長戦略」の柱に高速鉄道や原子力発電所などインフラの輸出を据える。自動車や家電製品などと比べると事業規模が格段に大きく、完成後の保守・管理なども含め、息の長い仕事になる。経済効果は絶大だ。

 日本経済が今後も成長していくためには内需拡大も重要だが、少子化が進む中、内需頼みにはおのずから限界がある。国際競争に勝てる高い技術力と、それに裏打ちされた製品・システムの輸出がなければ、持続的発展のシナリオは描けない。鉄道ビジネスを新しい輸出産業に育てたい。米国への輸出は、これから始まる大仕事の試金石とも言える。

 

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