HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 10 May 2010 22:14:18 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:金総書記訪中 危機に日中韓は連携を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

金総書記訪中 危機に日中韓は連携を

2010年5月9日

 北朝鮮の金正日総書記が中国を訪問し、首脳会談をした。経済協力を取り付け、核問題を協議する六カ国協議復帰にも前向きな姿勢を示した。訪中の背景には朝鮮半島での緊張の高まりがある。

 中朝両首脳は五日、北京での会談で朝鮮半島の非核化に努力すると一致した。金総書記は六カ国協議について、再開に向けて関係国と有利な条件をつくりだしたいと述べた。

 協議復帰は明言しなかったが、「米朝協議の結果を見た上で」という従来の主張から柔軟になったとの見方ができる。六カ国協議再開なら核問題が進展に向けて動きだすが、朝鮮半島では軍事衝突にも発展しかねない事件が起きている。

 三月下旬、韓国の哨戒艦が爆発して沈没し乗組員四十六人が死亡、行方不明となった。韓国の調査では、北朝鮮による魚雷攻撃との見方が日増しに強まっている。

 韓国の柳明桓外交通商相は先月、「六カ国協議より沈没の原因究明が先だ」と述べた。政府部内では「北朝鮮の関与が明らかになったら国連安保理に上程すべきだ」との意見がある。

 北朝鮮は事件との関連を否定しており、中朝首脳会談で議題になったのかも明らかではない。だが、この微妙な時期の金総書記訪中にさまざまな観測が出ている。

 金総書記は韓国側の最終調査結果が発表される前に胡錦濤国家主席ら指導部と会談し、沈没事件で中国が韓国寄りの言動をしないようにけん制したのではないか、六カ国協議に前向きな姿勢を見せたのは事件から目をそらせる狙いがある、といった見方だ。

 韓国が北朝鮮の攻撃だと断定したら南北の対立が激化する。双方の軍の警戒態勢が強化され、経済協力はほぼ止まるだろう。

 十五日には韓国慶州で日中韓の外相会談が開かれる。韓国側は軍艦沈没への対応について、日中に協力を求める見通しだ。日中韓三国は事件についての情報を交換し、連携を深めるべきだ。一方で六カ国協議再開に向けた北朝鮮の前向きな動きにどう対応するか。難題ではあるが、まずは率直な意見交換が必要だ。

 金総書記は二〇〇八年夏に脳卒中を患って以来初めて外遊した。滞在五日で過密日程をこなしたが、移動の車列には中国の救急車がつきそっていた。

 金総書記の健康不安と体制の不安定さも、東アジアにとって深刻な火だねである。

 

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