HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 11 May 2010 02:14:23 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:アパルトヘイト(人種隔離)が続いた南アフリカで一九九四年、…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2010年5月11日

 アパルトヘイト(人種隔離)が続いた南アフリカで一九九四年、初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ氏は、白人が主体のラグビー南ア代表チーム「スプリングボクス」の強化に乗り出した▼ラグビーは白人文化の象徴。黒人にとって代表チームは憎悪の対象であり、相手国のチームを応援するほどだった。多数派を占めた黒人は、チーム名や紋章を変えるよう求めたが、大統領はそれを制した。国際試合から追放され、弱体化したお荷物チームを新しい民族融和のシンボルに。マンデラ氏はそう考えたのだ▼就任の翌年、南アで開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)で、スプリングボクスは初出場、初優勝という奇跡を演じた。人種を超えた一体感を初めて味わった国民は「一つの祖国」という未来の希望を手にした▼実話を基にした映画「インビクタス 負けざる者たち」(クリント・イーストウッド監督)は、黒人指導者の確信とそれに応えた白人選手たちの姿を熱く描く▼その南アでサッカーW杯が来月十一日に開幕する。出場する日本代表選手がきのう発表された。初出場の選手も多いが、選ばれし者の自覚を胸に、全力のプレーを期待している▼マンデラ氏は二十七年間に及ぶ獄中生活を送った。彼を支えた詩の一節を選手の皆さんに贈りたい。<私は我が運命の支配者、我が魂の指揮官なのだ>

 

この記事を印刷する