リーマン、ドバイときて、今度はギリシャ。世界経済は、このところ「○○ショック」続きだ。それが商品なら、供給過多で値は安くなるはずだが、今度のショックも相変わらず高くつきそうである▼発端は遥(はる)か地中海の国ギリシャが直面した深刻な財政危機。欧州連合も支援策を決めたが危機は去らず、統一通貨ユーロも揺さぶられ、欧州諸国の株式市場に波及。さらに米国、そして日本にまで伝播(でんぱ)して世界同時株安の状況となっている▼南米チリの大地震が起こした津波が遠く離れたわが国の沿岸にまで押し寄せるのにも似て、もはや一国の問題は“震源地”の一国にとどまらない。リーマンしかりドバイしかり、どこかで生まれた衝撃波は大洋も越えて世界へと広がってしまう▼経済のグローバル化、即(すなわ)ち世界の経済がつながりを強めていればこそだ。そのせいで側杖(そばづえ)を食う国も出るわけだが、「どこかの国のピンチは自国のピンチ」という文法が定着していくのだとすれば、決して悪いことではない▼がんじがらめの相互依存関係で各国が結び付けば「自国だけの繁栄」など現実味を失い、自分の首をしめることになる他国とのいさかいも減るだろう。ミクロネシア連邦の名高い非核憲法前文の一節を思う▼<海は私たちを隔てているのではなく、つなげてくれている…私たちの世界はそれ自体が、一つの島である…>