HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 07 May 2010 01:15:54 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:塔の上の水路から水が滝となって落下し、水車を回す。その後、…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年5月7日

 塔の上の水路から水が滝となって落下し、水車を回す。その後、水は水路を流れていくが、それを追っていくと、また最初に水が落ちた塔の上の水路に戻り、滝となって…▼水は落ちても落ちても減らず、一定量だけで水車を永久に回し続けられる。一見するとそうなのだが、無論そんなことはあり得ない。「だまし絵」で知られるオランダの版画家エッシャーの作品『滝』である▼どんな仕掛けになっているのか、こちらは燃料のプルトニウムを燃やしても燃やしても減らないどころか、逆に増えるのだそうだ。そんな訳で「夢の原子炉」とも呼ばれた高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)が、昨日、十四年ぶりで運転を再開した▼一九九五年に冷却材のナトリウムが漏れる事故が発生して運転を停止して以来。その際、当時の運営組織が事故を小さく見せるため現場を撮影したビデオを改ざんした▼この事故や、その後のトラブル自体もさることながら、その隠ぺい体質や危機管理のずさんさが地元や国民の不信を“増殖”し、長期の運転停止につながったことは間違いない。組織改編などを経たとはいえ、依然、注がれる目は厳しい▼ただでさえ保安面の管理が難しく、将来性を問う声もある研究炉だ。運転を続けるなら、とにかく安全には万全を期してほしい。一見すると安全そう、という「だまし絵」は御免だ。

 

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